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2025年7月31日

国環研のロゴ
「#適応しよう」キャンペーン第二弾。
—地球沸騰化時代に快適に暮らすための行動「適応セレクト」発表。気候変動の影響にそなえるために必要な行動や知識とは—

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)

2025年7月31日(木)
国立研究開発法人国立環境研究所

 国立環境研究所気候変動適応センターは、私たち一人ひとりが気候変動にそなえ、快適に暮らせるよう、6月26日(木)に「#適応しよう」キャンペーンを公表し、15の「適応アクション」を示しました。今回、その第二弾として、15のアクションそれぞれについて具体的な行動や知恵をまとめた「適応セレクト」を発表します。
 併せて、本キャンペーンの「賛同パートナー」を募集しています。これらアクションに関連する製品・サービスをお持ちの企業等の皆さま、ぜひパートナーとしてPRにご協力ください。

1.背景と目的

「適応」とは、現在および将来の気候変動による影響に備え、快適に暮らしていくための取り組みです。気候変動対策は、この「適応」と「緩和」、つまり気候変動の原因となる温室効果ガスの発生を抑える取り組みの二つに大別されます。
現在、世界ではパリ協定に基づき「緩和」に関わる取り組みが活発に進められています。パリ協定の1.5度目標を達成したとしても、地球温暖化は一定程度進行するため、今後その影響による被害の悪化が懸念されています。具体的には、農作物の不作、熱中症リスクの増加、ゲリラ豪雨の発生頻度や大雨の強度の増加、それに伴う洪水リスクの増加など、すでに私たちの生活にも現れている様々な影響がより深刻化すると予測されています。
そのような中でも影響を最小限に抑え、私たち一人ひとりが快適な暮らしを実践することを目的として、「#適応しよう」キャンペーンを6月26日(木)よりスタートしました。

キャンペーンメインビジュアルの画像

2. 「#適応しよう」キャンペーンの適応アクションについて

国立環境研究所気候変動適応センターは、気候変動の影響により猛暑や大雨が当たり前になる時代に、最新の科学的知見をもとに、私たち一人ひとりが選択できる行動の知恵「適応アクション」をまとめ、発信しています。

今回、「ライフスタイル」「食」「住まい」「スポーツ・レジャー」「その他」の5つのカテゴリーからなる15の「適応アクション」を実践してもらうため、それぞれの項目における具体的なアクションである「適応セレクト(快適な暮らしを生み出すアクション)
」を発表いたしました。詳細は以下のとおりです。

アクション01のイメージ画像
アクション01 猛暑でも快適に暮らそう
気候変動の影響により、気温35度を超える猛暑日が年々増加しています。それに伴い、熱中症のリスクも高まっています。
毎日を快適に過ごすためにも、正しい予防を行い、暑さ対策を習慣にしていきましょう。
    適応セレクト
  • 暑さ指数を確認して行動時間を変える
  • 外出時は日傘を使う&日陰での休息など無理をしない
  • エアコンを適切に使う
  • 家族や身近な人への声がけをする
アクション02のイメージ画像
アクション02 サステナブルファッションを取り入れよう
私たちは1年で平均約18着の服を買い、15着を手放し、35着をクローゼットに眠らせています。服1着を作るためにお風呂11杯分の水を使用しています。環境負担をすこしでも減らすために、一人ひとりが持続可能なファッションを実現していきましょう。
    適応セレクト
  • 気候に合わせやすく、着回ししやすい服を選ぶ
  • 古着、リユースを楽しむ
  • リペア、リメイクを楽しむ
  • 服の原料やトレーサビリティを意識する
アクション03のイメージ画像
アクション03 防災ノウハウを身につけよう
気候変動影響による災害が増えるなか、明暗を分けるのは具体的なシミュレーションです。「避難経路は?」「待ち合わせ場所は?」「連絡手段は?」後回しにしがちですが、家族や身近な人と事前の話し合いが大切です。
    適応セレクト
  • 避難場所や避難経路を確認しておく
  • 家族と災害時のことについて話し合う
  • ハザードマップを活用する
  • 天気予報を見る習慣をつける
アクション04のイメージ画像
アクション04 防災グッズを揃えよう
防災グッズは、一般的には3日分、高層マンションでは7日分が備蓄の目安だと言われています。しかし、中身は家族構成や環境によって異なります。「備蓄する物」「避難時に持っていく物」をリスト化し、備蓄品の使用期限やラジオの動作確認をすることを習慣にしていきましょう。
    適応セレクト
  • 防災グッズを準備する
  • 定期的に期限や機能するかを確認する
  • ローリングストックを活用する
アクション05のイメージ画像
アクション05 食の選択肢を増やそう
気候変動により、採れる食材が変化しています。将来的に魚の分布域や作物の栽培適地の変化、規格外の野菜・果物が増えるかもしれません。変化する食卓に合わせ、私たちも食の選択肢を増やす必要があります。
    適応セレクト
  • 地域のもの、旬のものを楽しむ
  • 地域の新しい産品、新ブランド米を食べる
  • 規格外の野菜・果物を食卓へ取り入れる
  • 新しい食材を使った新たなレシピを楽しむ
アクション06のイメージ画像
アクション06 食品ロスを減らそう
私たち全員が毎日おにぎり1個分を捨てている日本の「食品ロス」。その量は年間約472万トン。気候変動により、食料生産にも影響が出ます。食べ物を大切にし、食品ロスを減らすことは、生産者や私たち自身の未来を守ることにつながります。
    適応セレクト
  • 買いすぎず、食べきる
  • ストックや賞味期限をこまめに確認する
  • 規格外の野菜・果物を食卓へ取り入れる
  • アプリやAIなど活用し食材を無駄にしないレシピを楽しむ
アクション07のイメージ画像
アクション07 エネルギーを効率よく使おう
猛暑日が増えることで使われる電力が増加し、災害リスクが増すことで停電リスクが高まります。家の「断熱」「節電」「蓄電」を取り入れましょう。
    適応セレクト
  • 遮光・遮熱カーテンを取り入れる
  • エアコンと合わせてサーキュレーターを使う
  • 節電や停電時のためにポータブル電源などを取り入れる
アクション08のイメージ画像
アクション08 限りある水を大切に使おう
私たちは1日約2ℓの水を飲み、トイレ1回で約4ℓの水を使い、トータルで1日約200ℓの水を消費しています。気候変動影響で雨が降る日は減少傾向にあり、渇水が起こりやすくなっています。水資源は減るのに、猛暑で水はもっと必要になる。そんな未来に対して、私たちにできる適応策があります。
    適応セレクト
  • ウォーターレスのアイテムを選ぶ
  • シャワーヘッドや蛇口などに節水アイテムを使う
  • お風呂のお湯の張りすぎに注意する
アクション09のイメージ画像
アクション09 おうち緑化しよう
グリーンカーテンは、直射日光を遮りながら、植物が水分を蒸発させることで、部屋の温度を最大1.7度も下げる効果があります。街全体の緑が増えることで、ヒートアイランド現象の軽減にもつながります。身近にできる工夫として、取り入れてみるのもおすすめです。
    適応セレクト
  • つる性植物でグリーンカーテンを作る
  • ガーデニング、庭の植栽をする
  • 調湿のために窓際やベランダに観葉植物を置く
アクション10のイメージ画像
アクション10 災害に強い家で暮らしを守ろう
台風、豪雨による洪水・内水氾濫や土砂災害、高潮などが各地で頻発しています。気候変動影響による自然災害の発生率が高まる中、まずは住まいの備えを見直しましょう。
    適応セレクト
  • 引越しの前にハザードマップを確認する
  • 家の定期メンテナンスをする
  • 側溝や排水口は掃除して水はけをよくしておく
アクション11のイメージ画像
アクション11 運動に最適な環境を選ぼう
暑さ指数が「28」を超えると、熱中症リスクが急激に高まります。気温だけでなく湿度の影響も大きく、暑さ指数が高い日は、運動や屋外活動を控えましょう。その日の暑さ指数をチェックして、運動内容や時間、場所の変更、中止など適切な判断が必要です。
    適応セレクト
  • 暑さ指数を確認する
  • スポーツをする時刻を変える
  • 運動内容、休憩頻度を変える
  • 雷、ゲリラ豪雨、突風など急な天気の変化に注意する
アクション12のイメージ画像
アクション12 運動時にクーリングをしよう
運動時に高いパフォーマンスを維持するには「体内の温度(深部温度)を38度以下に保つこと」が重要です。38度を超えると、持久力や判断力が低下し、熱中症リスクが高まります。「クーリング」を取り入れて、最大限に能力を発揮しましょう。
    適応セレクト
  • 涼しいウェアを身につける
  • アイススラリーや体を冷やす飲料の摂取
  • 運動前、休憩時、運動後などに手足や首、脇、などを冷やす
アクション13のイメージ画像
アクション13 感染症予防のために虫除け対策をしよう
気候変動により、感染症を媒介する蚊や屋外に生息するダニの発生時期が長くなり、生息域も拡大しています。それに伴い、蚊を媒介とするデング熱やジカ熱、マダニを媒介とする感染症などのリスクも高まっています。虫除け対策を忘れずに行いましょう。
    適応セレクト
  • 袖・長ズボンを着用する
  • 虫が寄ってこない薄い色の服を選ぶ
  • 防虫加工されたウェアを活用する
  • 虫除けスプレーなどのアイテムを利用する
アクション14のイメージ画像
アクション14 新しい旅の魅力に出会おう
スキー場に雪が積もらなくなるなど、気候変動は観光にも影響を及ぼす一方で、グリーンシーズンのアクティビティなど変化に合わせた新しい楽しみ方も生まれています。発想や視点を変えた新体験を味わってみませんか?
    適応セレクト
  • グリーンシーズンのアクティビティなどを楽しむ
  • サステナブルな取り組みをしている観光地・施設を選ぶ
  • ジビエや新たに採れる食物など地域の食材を楽しむ
  • EVカーシェア・タクシー・バスで移動する
アクション15のイメージ画像
アクション15 適応しよう・参加しよう・シェアしよう
「適応アクション」は、私たちの暮らしを便利に、快適にしてくれます。自分にとって「いいな」と思うことから取り入れてみませんか。
    適応セレクト
  • 環境、季節の変化を身近な人にシェアする
  • 適応に取り組む企業、自治体、団体を応援する
  • 将来の気候について調べる
  • 季節ごとの生き物の観察活動に参加する
湿度、周辺環境(日射)、気温などをもとに熱中症のなりやすさを示す指標。「28」を超えると熱中症リスクが急激に高まる。

3. キャンペーンへの賛同パートナー募集

国立環境研究所気候変動適応センターは、15の「適応アクション」に関連するサービス、媒体、プロダクトをお持ちの自治体・企業・団体・個人の皆さまに対して、情報発信や普及啓発等のPRに協力いただける「賛同パートナー」を募集しています。賛同パートナーは本日時点で27となっています。

なお、賛同パートナーへの申請は以下ページよりお願いいたします。
・キャンペーンサイト:https://adaptation-platform.nies.go.jp/everyone/campaign/

4. 発表者

本報道発表の発表者は以下のとおりです。
国立環境研究所
気候変動適応センター
 センター長      肱岡 靖明
 副センター長     上田 健二
 主査         友岡 郁路
 研究調整主任     杉野 伊吹
 高度技能専門員    根本 緑
 高度技能専門員    吉田 真梨子
 アシスタントスタッフ  菊田 歩実

5. 問合せ先

【発表に関する問合せ】
 国立研究開発法人国立環境研究所 気候変動適応センター
 気候変動適応推進室 主査 友岡郁路
 project-adpt(末尾に”@nies.go.jp”をつけてください)

【報道に関する問合せ】
 国立研究開発法人国立環境研究所 企画部広報室
 kouhou0(末尾に”@nies.go.jp”をつけてください)

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