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2005年12月21日

珍しい生き物ってどんな生き物?

生物多様性(2)

 珍しい生き物というと、なにを思い浮かべますか?直径1メートル近い花をつける寄生植物ラフレシア、深海にひそむ全長7メートルの巨大なイカ、いろいろ思いつくでしょう。どれも、ふだん目にすることができないから珍しいって思うのですね。
 なかなか見ることができない理由はなんでしょう?小さすぎて見えないとか、隠れていて見えないとかいった場合のほか生き物の分布のしかたも関係しています。
 まず、限られた地域にしかいないもの。たとえばイリオモテヤマネコは世界でも沖縄の西表島にしかいない珍しい生き物です。2番めに、特別な環境がないと生きられないもの。そういう場所に行かないと見られません。3番めに、とてもまばらにしかいないもの。広い餌場が必要な肉食動物は、目にすることができたら幸運です。こうした生き物が見慣れない様子をしたものならば、ますまず珍しい!と感心してしまいます。直径1メートルの花なんてほんとにびっくりですね。
 ところで今、もともと珍しくなかった生き物が珍しくなってしまったり、さらには絶滅したりということが起こっています。その原因は私たち人間です。人間が自然に与える影響をゼロにはできませんが、地球の上でいっしょに暮している生き物たちを永遠に消してしまうことはなるべく避けたいものです。
 そのために、人間の活動を制限する保護区を作ることは有効な方法です。ただし、適当に場所を決めたのでは分布地域が限られたり、特殊な環境が必要な生き物は守れません。
 そこで、生き物の分布の調査データを使って、なるべく多くの生き物を効果的に守れるように保護区をデザインする方法がいろいろ考えられています。「すべての種類がどこかしらに含まれるようなデザイン」とか、「すべての種類の生息地を3ヶ所以上含むようなデザイン」を、何百種の生き物の分布地図を眺めるだけで見つけだすのはとても無理ですので、コンピュータを使った賢い計算方法を開発しています。
 実際の保護区のデザインに活用するために、すでに保護区になっている場所を活かすとか、ある場所はどうしても他の目的で使うといった制約との、折り合いの付け方の工夫も進められています。

図
関東地方のトンボ97種の分布データから作った保護区デザインの例。
写真はハッチョウトンボ

【生物多様性研究プロジェクト 群集動態研究チーム 総合研究官 竹中 明夫】

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