2009年12月25日
湿地生態系の時空間的不均一性と生物多様性の保全に関する研究(特別研究)
平成18〜20年度
国立環境研究所特別研究報告 SR-89-2009
本報告書は、平成18~20年度に実施した特別研究「湿地生態系の時空間的不均一性と生物多様性の保全に関する研究」の成果をまとめたものです。
多様な生物と生態系を保全するには、まずはその分布を把握することが必要ですが、人間が歩き回って確認できることは限られます。飛行機や人工衛星などから全体を把握するリモートセンシングは有力な手段ですが、遠距離から姿をとらえることが難しい対象の場合は、空から得られる情報にもとづいて生物の分布の確率を推定するというアプローチが重要になります。本特別研究では、特に湿地を対象として、リモートセンシング情報から生物の分布パターンを推定することを試みました。空間統計学的な手法も取り入れて、群落の下層で暮らす稀少な植物や、植物群落を生活の場とする鳥などの分布確率を推定する手法を工夫したほか、植物群落の構造や、河川内の微地形の空間分布を推定することに成功しました。本報告書で呈示したアプローチが生物多様性の保全に役立つことを期待しています。
(生物圏環境研究領域 竹中 明夫)
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