リサイクル社会の身近な循環技術
ゴミ(5)
リサイクルとは、役割を終えてそのままではごみになってしまうものに加工を行い、新たに製品や、製品の一部として再利用することです。
ごみの量を減らし、製品を作るための資源も節約できるので、国土が狭いために埋立処理場を作ることが難しく、多くの資源を輸入に依存する我が国においては、特に重要度の高い取り組みです。
例えば、商品を包んでいる紙やプラスチック、飲み物の容器などの容器包装のリサイクルでは、ペットボトルから衣料品が作られたり、食品トレーから文房具が作られたりと、身の回りでもさまざまな形で利用されています。このように本来ごみになるものが分別回収され再利用されることにより、家庭から出るごみのリサイクル率は、年々上昇しています。(下図参照)
しかし、良いことばかりではありません。リサイクルする時には新たにエネルギーや資源が必要になります。費用をかけてリサイクルされた製品が、品質や価格の面で新品より劣る場合もあります。さまざまリサイクルが、本当に資源や環境問題の解決に向かうのかを、見極める必要があります。
リサイクルによって環境負荷がどれだけ下がるかを調べる方法に、ライフサイクルアセスメントという手法があります。資源の採掘に始まり、製品の製造から廃棄に至る過程(ライフサイクル)において必要な資源・エネルギーの消費や、発生する環境汚染物質の有無などを調べる方法です。
我々の調査では、プラスチック製の容器包装をパッカー車で分別収集し、中間処理を行い、リサイクル工場にトラックで運んで、材料や化学原料としてリサイクルする過程を調べた結果、プラスチックを分別しないで焼却する場合に比べて、温室効果ガスである二酸化炭素の排出を、削減できることが分かりました。なお、リサイクルにかかる費用や手間が適切であるかどうかについては、今後も検討が必要です。
また、効果があると言っても、リサイクルは風邪を引いてから病院に行くようなものです。そもそも風邪を引かないこと、つまりごみを出さないことや、無駄に多くの製品を作らない(=無駄なものを買わない)で済むように工夫することが重要です。
【循環型社会形成推進・廃棄物研究センター 循環型社会形成システム研究室 研究員 藤井 実】
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