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2015年2月20日

汚染焼却飛灰廃棄物等の最終処分場(遮断型構造)に用いるコンクリートに関する技術資料(第二報)

福島県外の指定廃棄物は鉄筋コンクリート製の遮断型構造の最終処分場での処分が検討されています。国立環境研究所では、従来の廃棄物最終処分場の構造や放射性物質汚染廃棄物の特性等に関する各種知見・経験を有する研究者及びコンクリート工学の専門家から構成される研究会(汚染廃棄物等最終処分場へのセメント・コンクリート技術適用に関する研究会)を設け、安全・安心な最終処分場建設に関する検討を行ってきました。その検討の成果として、表題の技術資料をまとめました。
-本サイトからダウンロードできるようになりましたのでお知らせいたします。-

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本技術資料について

 特措法では、事故由来の放射性物質に汚染された廃棄物(以下「放射性物質汚染廃棄物」)はいくつかの種類に分類されています。汚染廃棄物対策地域以外で発生したもので放射能濃度レベルが8000Bq/kgを超えるものを指定廃棄物とし、福島県外では鉄筋コンクリート製の遮断型構造の最終処分場での処分が検討されています(図1)1,2)。この際、安全性確保の基本的な考え方として「遮断」「遮蔽」「安全確認」の機能の必要性が環境省から示されています3,4,5)

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 指定廃棄物には、焼却灰、下水汚泥、浄水発生土、農林業系副産物などがあますが、ここでは、減容化のため可燃物を焼却した際に発生する焼却灰(特に飛灰)の安全・安心な処分を考えます(下水道汚泥の焼却飛灰を除く)。焼却飛灰には元の廃棄物と比較して20~30倍程度の放射性セシウムが濃縮し(以下「汚染焼却飛灰」)、その他の焼却主灰や浄水発生土等とは異なり放射性セシウムの溶出率が高くなっているため、水が作用し放射性セシウムが漏出するリスクを制御することが重要です。そこで遮断と遮蔽の性能を有する鉄筋コンクリート製最終処分場を確実に建設することを考えます。

 (独)国立環境研究所では、従来の廃棄物最終処分場の構造や放射性物質汚染廃棄物の特性等に関する各種知見・経験を有する研究者及びコンクリート工学の専門家から構成される研究会(汚染廃棄物等最終処分場へのセメント・コンクリート技術適用に関する研究会)を設けました。汚染焼却飛灰の持つ様々な特性を十分に踏まえ、最終処分場へのコンクリート技術適用に関して、構造・材料・維持管理方法に着目した技術的な議論・検討を行い、首記の技術資料としてまとめる活動を行ってきました。

 本技術資料は三部構成です。まず最終処分場の建設において考慮する点を抽出し、次いで事例検討を行い、さらに建設に係わる基本的な考え方を提案しました。

 第I部では、まず汚染焼却飛灰等の最終処分場(遮断型構造)建設の根拠となる関連法規類を整理します。そして環境省が説明に用いてきた事例(図1)1,2)について、最終処分場の特徴を明確にし、その特徴に対応する鉄筋コンクリートについて考慮する点を抽出します。すなわち、関連法規で示されている最終処分場(遮断型構造)が具備すべき機能を説明し、その機能を実現するために最終処分場を構成する鉄筋コンクリートの性能の観点から、特に今回の最終処分場建設に特有の考慮すべき点を明確にします。

 第Ⅱ部では、第Ⅰ部で挙げた鉄筋コンクリートについて考慮すべき点に関連して、事例検討の成果を説明します。まず、焼却飛灰からの吸湿・潮解現象による高濃度塩水の発生を検討した上で、コンクリートの温度および乾燥収縮ひび割れ、耐久性、高濃度塩水の作用と施工における品質確保に関する検討結果です。ここでは一般的に用いられる普通ポルトランドセメントコンクリートの性能を高める方法として、石炭火力発電所から産出するフライアッシュと膨張材を用いたコンクリートを取り上げ、両者を比較検討します。コンクリート以外にも覆土、ベントナイト、指定廃棄物が入ったフレキシブルコンテナ間の間詰め方法についても示します。

 第Ⅲ部では、第Ⅱ部での個別のコンクリート技術の検討を踏まえ、最終処分場に求められる遮断、遮蔽、安全性の確認の各機能とこれらを実現するための鉄筋コンクリートの耐久性などの性能を明らかにしたうえで、それを実現できる、設計と安全性を確認する方策、考慮すべき作用と対策、施工時の留意点などの重要な点について考え方を示します。特に、予期することが難しい汚染焼却飛灰から発生する可能性のある高濃度塩水の作用を偶発作用の一つとし、マネジメントによる対応も含め、整理します。具体的な構造のイメージとして急速施工が可能なプレキャスト製品を利用した構造(図2)、輸送や事故時の対応が容易なコンクリート容器を活用した構造(図3)も例示しました。ここで検討した内容や考え方は、中間貯蔵施設で使用するコンクリートにも活用できるでしょう。

図2 急速施工が可能なプレキャスト部材を用いる事例      図3 安全な輸送と再配置が可能なコンクリート容器を活用する事例

 本技術資料は、2013年11月7日から2014年12月26日の間に10回の研究会を持ち、案をまとめ、2014年7月14日と9月19日に関連分野の専門家4名による外部評価を行い、研究会委員の尽力により作成しているものです。また、関連する実験的検討は現在も進行中であり、まとまり次第、適宜、参考資料として追加する予定です。

 今後、国において実施される放射性物質汚染廃棄物の最終処分場の設計・施工・維持管理等に本技術資料が適宜活用されることにより、放射性物質汚染廃棄物の安全かつ合理的な最終処分の推進の一助となることを期待します。

参考文献

1)環境省、指定廃棄物の今後の処理の方針(平成24年3月30日)、
http://www.env.go.jp/jishin/rmp/attach/memo20120330_waste-shori.pdf

2)環境省災害廃棄物安全評価検討会検討会(第14回)(平成24年8月20日)、資料4 指定廃棄物の最終処分場等の構造の考え方について、
http://www.env.go.jp/jishin/attach/haikihyouka_kentokai/14-mat_1.pdf

3) 平成25年2月28日環境省告示第15号、特定廃棄物の埋立処分の場所に係る外周仕切設備の要件、
http://www.env.go.jp/jishin/rmp/attach/an25_015.pdf

4)環境省、放射性物質対策、指定廃棄物の最終処分場の候補地提示、栃木県、9月14日、指定廃棄物の最終処分場候補地選定等に係る市町説明会、栃木県における指定廃棄物の最終処分場候補地について(2014年9月15日閲覧)
http://www.env.go.jp/jishin/rmp/attach/waste_fds-candidate_tochigi120903-01.pdf

5)環境省、指定廃棄物処分等有識者会議(第2回)、資料1-1 最終処分場等の構造・維持管理による安全性の確保について、平成25年4月22日
http://shiteihaiki.env.go.jp/initiatives_other/conference/pdf/conference_02_01.pdf

本検討に係る委員等

汚染廃棄物等最終処分場へのセメント・コンクリート技術適用に関する研究会 構成委員

委員長 大迫 政浩 (独)国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター センター長
顧問 長瀧 重義 東京工業大学名誉教授
幹事 山田 一夫 (独)国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター
                                    研究開発連携推進室 主任研究員
委員 市川 恒樹 (独)国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター 客員研究員
    北海道大学 名誉教授
委員 遠藤 和人 (独)国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター
                                     廃棄物適正処理処分研究室 主任研究員
委員 川端 雄一郎 (独)港湾空港技術研究所 構造研究領域 主任研究官
委員 蔵重 勲 (一財)電力中央研究所 地球工学研究所 主任研究員
委員 斉藤 成彦 山梨大学 工学部土木環境工学科 准教授
委員 半井 健一郎 広島大学 大学院工学研究院社会環境空間部門 准教授
委員 丸山 一平 名古屋大学 環境学研究科環境学専攻 准教授
委員 山田 正人 (独)国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター
                                     廃棄物適正処理処分研究室 室長

外部評価委員(専門分野)

委員長 河野 広隆 京都大学大学院工学研究科 都市社会工学専攻
                                  教授(コンクリート材料)
委員 勝見 武 京都大学大学院地球環境学堂社会基盤親和技術論分野
                                    教授(環境地盤工学)
委員 勅使川原 正臣 名古屋大学大学院環境学研究科コンクリート工学研究室
                                  教授(鉄筋コンクリート構造)
委員 樋口 壯太郎 福岡大学大学院工学研究科資源循環・環境工学専攻
                                  教授(廃棄物処分)

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