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2025年1月27日

国立環境研究所のロゴ
一般廃棄物の処理と施設の実態をビジュアルで容易に
閲覧・比較する自治体支援ツールを公開

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)

2025年1月27日(月)
国立研究開発法人国立環境研究所

 

 国立環境研究所の研究グループは、一般廃棄物処理実態調査のデータ(1990~2022年度)をまとめ、ごみの排出・資源化・処理状況の経年変化の閲覧や他自治体との比較などを容易に行えるようにしたツール(「一般廃棄物データビジュアライゼーション(自治体支援ツール)」、以下「支援ツール」という。)を2025年1月27日に公開しました。
 本支援ツールのために新たに整備したデータには施設の運転状況を示すデータも含まれ、その経年変化を容易に閲覧できるようにしたツールとしては日本初のものとなります。また、全国の類似の自治体における廃棄物処理状況の比較も容易に行うことができます。人口減少を迎えた日本各地における一般廃棄物関係の施設インフラ整備に関する計画策定や運用において活用されていくことが期待されます。

1. 支援ツールの概要

本支援ツールでは、都道府県ならびに市町村の一般廃棄物処理状況のデータ、および施設のデータについて、それぞれ「データを見る」「データを比較する」ことができます(図Ⅰ参照)。

一般廃棄物データに関する自治体支援ツールのトップページ(機能一覧)の図
図Ⅰ 一般廃棄物データに関する自治体支援ツールのトップページ(機能一覧)

例えば、「都道府県・市町村」の「データを見る」ページでは、図Ⅱに示すように、様々なデータ項目について、ある年度における各自治体の情報やその地図情報、およびある自治体における経年変化の情報を閲覧できます。閲覧できるデータ項目は、人口、ごみ排出量、リサイクル率、ごみ排出原単位、一人当たりの総費用などの15項目です。
また、人口規模や都市形態、地方などを選び、その市町村グループ別にリサイクル率などが上位の市町村を閲覧できるページもあります(図Ⅲ)。

詳しくは、こちらのサイトをご覧ください。
https://www-cycle.nies.go.jp/jp/db/file01/visualize00.html

「市町村のごみ処理状況のデータを見る」ページの例の図
図Ⅱ 「市町村のごみ処理状況のデータを見る」ページの例
地方-都市形態-人口でグループを設定してごみ減量化や リサイクル率などが「上位の市町村を見る」ページの例の図
図Ⅲ 地方-都市形態-人口でグループを設定して
ごみ減量化やリサイクル率などが「上位の市町村を見る」ページの例

2. 「データを比較する」ページの特徴

市町村の「データを比較する」ページでは、選択した市町村における一人あたりのごみ排出原単位やリサイクル率などのデータを全国の類似の自治体と比較できます。自治体担当者は、近隣の自治体とのデータ比較を行うことがしばしばありましたが、本支援ツールを使うと、人口やリサイクル率、ごみ排出原単位、財政力指数のいずれか、または複数の項目を使って類似の自治体を全国から自動的に抽出できるため、全国レベルでのデータ比較が簡単になりました。
一方、ごみ処理施設の「データを比較する」ページでは、焼却施設、粗大ごみ処理施設、資源化施設、燃料化施設、リユース・リペア施設、保管施設、その他処理施設、最終処分場の施設データを、同一の都道府県内の施設のデータと比較できます。本支援ツールを使うと、同一広域ブロック内の施設ならびに施設の使用年数が近い施設を自動的に抽出できるので、複数の自治体で施設を整備・運用するための参考情報を手軽に得ることができます。

3. 支援ツール開発の背景と閲覧できるデータの特徴

環境省が毎年調査している一般廃棄物処理実態調査(外部サイトに接続します)は、1970年代から長年調査されてきた世界的にも貴重な廃棄物統計データです。その有効な活用のため、当研究所の資源循環領域では、これまでにこのデータをアーカイブデータとして整備し、「一般廃棄物長期時系列データ閲覧システム」などとして公開してきました。近年は、データビジュアライゼーション技術が進み、視覚的なデータの閲覧・比較が容易になってきたことから、これまでの閲覧システムを大幅にリニューアルし、2022年度までのデータを追加した支援ツールとして今回公表しました。
特に、従来のシステムでは施設データは時系列データとして整備されていませんでしたが、本支援ツールでは膨大な数の施設データを経年的に接続させたことにより、施設データの経年変化を閲覧できるようになりました。施設の使用年数に伴い処理量や資源化量、発電量、稼働率がどのように変化するかが分かり、今後の施設整備における重要な参考データとなると考えられます。

4. 今後の展望

各地域における廃棄物データを最大限活用して処理計画や施設整備計画を策定していくには、将来の予測データを整備していくことも求められています。その実現が今後の課題です。

5. 研究助成および謝辞

本支援ツール開発は、国立環境研究所の資源循環分野(知的研究基盤整備)ならびに国立研究開発法人科学技術振興機構による「共創の場形成支援プログラム 24-231040661(地域共創分野・本格型プロジェクト「リスペクトでつながる『共生アップサイクル社会』共創拠点」(代表機関:慶應義塾大学、プロジェクトリーダー:田中浩也教授)のもとで実施しました。 また、一般社団法人環境情報科学センターならびに一般財団法人日本環境衛生センターには、本支援ツールの作成ならびにデータ整備に協働いただきました。その他にも行政担当者や有識者等から有益なコメントをいただき、本支援ツールの完成に至りました。ここに記して、協力いただいた関係者に御礼申し上げます。

6. 発表者

本報道発表の発表者は以下のとおりです。
国立環境研究所
資源循環領域 資源循環社会システム研究室
 室長 田崎 智宏
 主任研究員 河井 紘輔
 特別研究員 山本 悠久

7. 問合せ先

【研究に関する問合せ】
国立研究開発法人国立環境研究所 資源循環領域
資源循環社会システム研究室 室長 田崎 智宏(たさき ともひろ)
J-Waste-DB_info (末尾に”@nies.go.jp”をつけてください)

【報道に関する問合せ】
国立研究開発法人国立環境研究所 企画部広報室
kouhou0(末尾に”@nies.go.jp”をつけてください)

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