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2023年4月20日

国環研とCESSのロゴ
廃棄物最終処分場ならびに不法投棄地における迅速対応調査手法に関する標準作業手順書の公開

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)

2023年4月20日(木)
国立研究開発法人国立環境研究所
埼玉県環境科学国際センター
鳥取県衛生環境研究所
 

 廃棄物最終処分場や不法投棄地において、生活環境安全上の支障や環境汚染が顕在化した際に求められる現場調査手法のいくつかについて、標準作業手順としてとりまとめました。標準作業手順書は、廃棄物最終処分場の調査に関する情報共有のためのプラットフォーム(https://www.nies.go.jp/landfill_survey)にて公開します。

1. 標準作業手順書作成の背景

廃棄物の不適正な保管や処分ならびに不法投棄等を原因とする、様々な生活環境の問題や環境汚染の発生が明らかとなった場合、問題の拡大を防ぎ被害を最小限とすることが第一に求められます。そのためには、できるだけ早く原因および問題の種類と影響範囲を特定する必要があります。その上で、地方公共団体環境研究機関(以下「地環研」という。)が果たしている役割はきわめて重要です。国立環境研究所資源循環領域は、全国環境研協議会の提言を受け、地環研と共同で、「廃棄物の不適正管理に起因する環境影響の未然防止に係る迅速対応調査手法の構築」という調査研究を実施してきました。その成果として今般、廃棄物最終処分場ならびに不法投棄地における迅速対応のための調査手法を標準作業手順書としてとりまとめました。

2. 標準作業手順について

今回とりまとめられた標準作業手順書は、水環境の影響や有害・可燃性ガスに関わる影響を評価する方法、非破壊で内部の状況を探査する方法、および掘削により得られた内部の廃棄物の状況を検査する方法に関する計9項目です。いずれも、廃棄物の不適正な処分および不法投棄が確認された際に実施が想定される項目ですが、機関によっては人員体制とその習熟度、もしくは機器の準備状況が不十分な場合もしばしばあります。今回この標準作業手順書を作成し公開する目的として、迅速な対応が求められる調査において、担当者の習熟度に左右されずに現場の状況を把握するための調査方法を共有するとともに、こうした調査に必要な体制や機器について、平常時に改めて見直して準備を促すという側面があります。

3. 公開される標準作業手順書一覧

(1) 水試料の採取方法
(2) 検知管による溶存硫化物濃度の現場簡易測定
(3) 熱線式風速計による埋立ガス流量の測定方法
(4) 閉鎖型チャンバー法による地表面ガスフラックスの調査
(5) 地下ガス濃度の調査方法
(6) 地下の比抵抗分布の調査方法
(7) 地下の電磁気的特性の調査方法
(8) 廃棄物コア試料の現場分析と分取方法
(9) 廃棄物からのバイオガス発生ポテンシャル測定

閲覧先
https://www.nies.go.jp/landfill_survey/research/index.html

また、標準作業手順書の公開に合わせて、以下の手順については解説動画を国立環境研究所動画チャンネルにて公開します。各動画のリンク先は以下の通りです。

解説動画プレイリスト
https://youtube.com/playlist?list=PLFTJlLsZcVbjEhRAnsKh1D0V_3VV4IYDR

周辺地下水・観測井戸からの採水方法
https://www.youtube.com/watch?v=Aigp9wousYw
溶存硫化物濃度の現場測定方法
https://www.youtube.com/watch?v=Qj1DNNKbNoY
観測井戸・ガス抜き管におけるガス流量の測定方法
https://www.youtube.com/watch?v=D_-2l2C430E
地表面ガスフラックスの調査方法
https://www.youtube.com/watch?v=DvyIfAwXevA
地下ガス濃度の調査方法
https://www.youtube.com/watch?v=ajZBghEMUzI
地下の比抵抗分布の調査方法
https://www.youtube.com/watch?v=WE1Q5cAcVJQ
地下の電磁気的特性の調査方法
https://www.youtube.com/watch?v=uqOMv311eVI
廃棄物コア試料の現場分析と分取方法
https://www.youtube.com/watch?v=_eqKKbr8NZ8

4. 今後の展望

2023年度からは、同じ枠組みでの共同研究として、新たに「廃棄物最終処分場の廃止判断と適正な跡地利用に資する多面的評価手法の適用に関する検討」を実施します。調査研究活動を通じて得られる知見を踏まえて、今後も廃棄物最終処分場における調査手法に関する標準作業手順書および解説動画を追加し、充実させていく予定です。

5. 参考リンク

廃棄物最終処分場の調査に関する情報共有のためのプラットフォーム
https://www.nies.go.jp/landfill_survey

2022年度地方環境研究所等との共同研究応募課題一覧 II型実施共同研究
https://www.nies.go.jp/kenkyu/chikanken/kadai/r04.html#type_2

6. 発表者

本報道発表の発表者は以下のとおりです。
国立研究開発法人 国立環境研究所
資源循環領域
室長 山田正人
主幹研究員 石垣智基

埼玉県環境科学国際センター
資源循環・廃棄物担当
担当部長 長森正尚

鳥取県衛生環境研究所
水環境室
室長 成岡朋弘

7. 問合せ先

【内容に関する問合せ】
国立研究開発法人国立環境研究所 資源循環領域
廃棄物適正処理処分技術研究室 主幹研究員
石垣 智基

【報道に関する問合せ】
国立研究開発法人国立環境研究所 企画部広報室
kouhou0(末尾に”@nies.go.jp”をつけてください)

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