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2015年10月29日

MRI画像解析と同位体解析による栄養塩や温室効果ガスの底泥からのフラックス予測(分野横断型提案研究)
平成24~26年度

国立環境研究所研究プロジェクト報告 SR-110-2015

表紙
SR-110-2015 [7.3MB]

 底質環境はより良い湖沼環境を目指す上で最も大切な生態系要素であるにもかかわらず、現状では底泥の扱いの難しさからその研究は大幅に遅れています。そこで、本研究では既存の非破壊画像化技術による底泥の物理構造の解析と底泥間隙水の栄養塩や溶存ガスの濃度と同位体分析によるプロセス解析を行うことで、底質環境の新たな解析手法の確立を目指しました。


 国立環境研究所では、このような背景を踏まえ、MRI分析技術による軟泥中の底生生物の巣穴構造とX線CT測定技術によるメタンなど温室効果のあるガスが作り出す底泥中ガス泡構造の解析手法の構築について研究を進めてきました。また、溶存態およびガス態の両方を合わせた底泥中の温室効果ガスの同位体測定手法の構築も行いました。


 本研究では、MRI分析により定量化に成功した巣穴密度の深度分布が底泥間隙水の水質を変え、底泥からの栄養塩溶出に大きな影響を与えることを明らかにしました。また、X線CT測定により定量化できるようになった霞ヶ浦湖心のガス泡密度の深度分布が季節により大きく変動し、秋季に多量のガス泡が底泥中に蓄積されていることを世界に先駆けて明らかにしました。そして、このガス泡の主成分であるメタンガスが溶存炭酸ガスの水素還元により生成されることを同位体解析から明らかにしました。


 これらの成果を取りまとめた本報告書が、自然湖沼やダム湖をはじめとする湖沼生態系の底質環境評価や底質改善施策を行う際の基礎データとして、研究および行政に役立つことを期待しております。


(地域環境研究センター 高津文人、今井章雄(編者))

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