平成29年6月1日(木) 国立研究開発法人 国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター センター長 大迫政浩 循環型社会システム研究室 室長 田崎智宏 研究員 多島 良 特別研究員 小島英子 |
国立研究開発法人国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センターでは、これまでの調査・研究で得られた知見にもとづいて、「高齢者ごみ出し支援ガイドブック」を作成しました。超高齢社会を迎え、ごみ出しが困難でありながら必要な支援が受けられない高齢者は、今後ますます増えていくことが懸念されています。本書は、これから高齢者を対象としたごみ出し支援に取り組みたい自治体を主な読者として想定して、支援制度の設計や運用の仕方をわかりやすく説明するものです。自治体が支援の主体となる「直接支援型」と、自治会やNPO等が支援の担い手となる「コミュニティ支援型」について、それぞれの特徴や留意点を紹介しています。 本書は、以下のURLよりダウンロード頂けます。 http://www-cycle.nies.go.jp/jp/report/aging2.html |
1.高齢者ごみ出し支援とは
高齢者ごみ出し支援とは、ごみ出しが困難になった高齢者等に代わり、他の主体がごみ出しを手伝い、ごみを収集する仕組みです(図1)。国立環境研究所が2015年に行った全国自治体アンケート調査によると、市町村による高齢者ごみ出し支援の実施率は約23%に留まり、今後さらなる普及が望まれます。

2.ガイドブックの内容
本書は、これからごみ出し支援制度を導入したい自治体や、既に運用している制度の改善を図りたい自治体を主な読者として想定し、支援制度の設計や運用の仕方を解説しています。これまでの調査・研究を通じて、支援制度を運用している自治体の経験やノウハウを収集・分析した成果に基づいて執筆したものです。
本書の目次は以下のとおりです。
1. 高齢者のごみ出しをめぐる課題と本書の狙い
1.1 高齢者のごみ出しをめぐる課題
1.2 高齢者のごみ出し支援の現状
1.3 本書の位置づけと狙い
2. ごみ出し支援のしくみ・いろいろな側面
2.1 ごみ出し支援とは?
2.2 ごみ出し支援のための連携
2.3 支援制度の2つのタイプ
3. ごみ出し支援のしくみ・つくり方と回し方
3.1 検討プロセスの概要
3.2 現状把握
3.3 基本方針の検討
3.4 仕組みの詳細の検討
3.ガイドブックの特徴
「介護保険制度を利用していれば、ごみ出し支援は必要ないのでは?」「支援がないとどうなってしまうの?」といった疑問を持つ人も多いでしょう。本書では、高齢者のごみ出しを巡る課題を詳しく解説し、なぜ支援が必要なのかを理解できるようにしています(第1章)。
制度設計では関係主体と連携しつつ、①現状を把握し、②基本方針を検討し、③さらに仕組みの詳細を検討していきます。本書では、こうしたプロセスをわかりやすく解説しています(第3章1~3節)。
ごみ出し支援で高齢者の見守りを行う方法には、①毎回必ず声を掛ける、②ごみが出ていないときだけ声を掛ける、③基本的に声掛けしないが、連続してごみが出ていない場合や異変に気づいたときには声を掛けるといった様々な方法があります。本書では、こうした支援のノウハウを紹介しています(第3章4節)。
12の「コラム」を掲載し、用語の解説、参考になる関連事例や興味深い研究成果など役立つ情報を紹介しています。
10のトピックについて「データ」を掲載し、自治体規模別にみた支援の取り組み状況や声掛けの実施状況など、全国自治体アンケート調査の結果を紹介しています。
4.これまでの主な調査・研究
対象:廃棄物部局担当者
発送数:1,741 有効回答数:1,127 有効回答率:64.7%
質問項目:課題認識、制度の有無、内容、実績、課題等
協力頂いた自治体:我孫子市、牛久市、大木町、上勝町、千葉市、所沢市、新潟市、日野市、水俣市、山形市、横浜市(50音順)
質問項目:経緯、制度の内容、実績、効果、課題等
5.問い合わせ先
国立研究開発法人 国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター
循環型社会システム研究室
特別研究員 小島英子
Tel:029-850-2855 Email:kojima.eiko(末尾に@nies.go.jpをつけてください。)
研究員 多島 良
Tel:029-850- 2842 Email: tajima.ryo(末尾に@nies.go.jpをつけてください。)
6.関連する研究成果
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小島英子, 多島良 (2017) 自治体による高齢者のごみ出し支援の取り組み—支援タイプ別の事例と特徴—,廃棄物資源循環学会誌,28(3),印刷中
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小島英子 (2016) 高齢者のごみ出しを巡る課題と支援方策,都市清掃,69(329),pp.8-13
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多島良 (2016) ごみ出し支援の現状と展望,月刊廃棄物 2016 年 5 月号,pp.4-8