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2016年1月8日

「未来に続く健康をまもるために
~環境化学物質の継世代影響とエピジェネティクス~」
国立環境研究所「環境儀」第59号の刊行について
(お知らせ)

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ同時配付)

平成28年1月8日(金)
国立研究開発法人国立環境研究所
 編集委員会委員長:三枝 信子
  〃 担当WGリーダー  :小林 弥生
  〃 事務局(環境情報部情報企画室)
    室長:阿部 裕明
    担当:小野 明日美

   国立環境研究所では、研究情報誌「環境儀」第59号として、「未来に続く健康をまもるために~環境化学物質の継世代影響とエピジェネティクス~」を刊行します。
   私たちが生活する環境中には、さまざまな化学物質が存在しています。その中には、微量であっても日常的に摂取することによって健康に悪影響を及ぼすものがあります。妊娠中に摂取した化学物質の影響が、生まれた子、さらに孫以降の世代にまで受け継がれる「継世代影響」の可能性があり、「エピジェネティクス」という、DNAの塩基配列を変化させることなく遺伝子の機能を変化させる作用が要因の一つと考えられています。
   本号では、化学物質の継世代影響のメカニズムを探る研究を紹介します。また、このメカニズムを解くカギとして注目している「エピジェネティクス」についても解説しています。

1 「未来に続く健康をまもるために
      ~環境化学物質の継世代影響とエピジェネティクス~」の概要

(1) 継世代影響

No.59表紙

   妊娠中のマウスに無機ヒ素を含む水を飲ませると、そのマウスから生まれた子は成長後に肝がんを高い比率で発症するという研究を行っています。この研究で、子供の世代ばかりでなく、孫の世代においても、成長後に肝がんの発症率が増加することを見出しました。これは、妊娠期のヒ素の摂取が孫世代まで影響を及ぼすということを世界で初めて明らかにした結果です。このような孫世代以降におよぶ継世代影響が新たな懸念となっています。

(2) エピジェネティクスの関与

   エピジェネティクスとは、DNAの塩基配列を変化させることなく、遺伝子の機能を変化させる仕組みです。胎児期に化学物質に曝露されると、化学物質がエピジェネティクスを介して遺伝子機能を変化させ、成長後の疾患につながるのではないかと考え、胎児期にヒ素を曝露し肝がんを発症したマウスの肝臓のゲノムを調べました。その結果、エピジェネティクスにより機能が変化したがん遺伝子が見つかり、現在発がん増加との関連をさらに検討しています。継世代影響は、生殖細胞ゲノムのエピジェネティックな変化が原因となると考えられるため、生殖細胞に関する検討も開始しています。

   国立環境研究所では、エピジェネティクス作用に注目し、継世代影響のメカニズム解明に取り組んでいます。

● 本号のテーマの研究担当者
・野原 恵子(のはら けいこ)
 国立環境研究所
 環境健康研究センター センター長
・鈴木 武博(すずき たけひろ)
 同センター 分子毒性機構研究室 主任研究員
・岡村 和幸(おかむら かずゆき)
 同センター 分子毒性機構研究室 研究員

2 「環境儀」について

「環境儀」は、研究所の研究成果や環境科学の基礎をわかりやすく伝える研究情報誌で、年4回発行しています。

3 閲覧・入手についての問い合わせ先

  • 「環境儀」は、国立環境研究所ホームページで閲覧することができます。
  • 冊子の入手については、下記へお問い合わせ下さい。
     連絡先:国立環境研究所 環境情報部 情報企画室 出版普及係
     (TEL:029-850-2343、E-mail:pub@nies.go.jp)

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