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2017年12月28日

遺伝子から植物のストレスにせまる
─オゾンに対する植物の応答機構の解明─

環境儀 No.67

環境儀67号はしがき画像

 一般的にはあまり知られていませんが、光化学オキシダント(光化学スモッグ)の主成分であるオゾンは、ヒトを含む生物に対する毒性が高く、植物に対しても、農作物の生育被害や森林衰退の原因になっています。今後予想されるグローバルな人口増加に対する食糧確保や気候変動下での環境保全にとって、オゾンの植物に及ぼす影響とそのメカニズムの解明はたいへん重要な研究課題です。

 国立環境研究所では、設立以来約40年に渡ってこの課題に取り組み、様々な施設や手法を用いて研究してきました。初期の生理・生化学的研究から得られた知見を基に、オゾンによる活性酸素生成やその作用による障害の仮説を提案し、遺伝子レベルで検証しました。また、オゾンによる障害に植物ホルモンの一つであるエチレンが関与していることに注目し、遺伝子組換えによりオゾンに強い植物を開発することにも成功しました。さらに、今世紀初めから急速に進展してきたモデル植物の網羅的な遺伝子分析から得られた知見を利用した分子遺伝学的研究により、植物のオゾン応答に関与する遺伝子について新たな知見を次々と明らかにしてきました。

 本号ではこれらの遺伝子レベルの研究を紹介し、その有効性や難しさ、おもしろさなどをお伝えします。

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