「アオコの実像-シアノバクテリアの遺伝子解析からわかること」国立環境研究所「環境儀」第73号の刊行について(お知らせ)
(筑波研究学園都市記者会、環境記者会、環境省記者クラブ同時配付)
令和元年6月28日(金) 国立研究開発法人国立環境研究所 編集分科会委員長 :江守 正多 〃 担当WGリーダー:岡寺 智大 〃 事務局(環境情報部情報企画室) 室長 :阿部 裕明 担当 :青池美江子 |
暑い夏、水面に浮かぶ青い粉、アオコ。高度経済成長期に社会問題となったアオコは、一時収束したかと思われたものの平成後期に再び大発生があり、その原因となる藻類の挙動を明らかにする研究が続けられています。本号では、遺伝子解析によりアオコの実像を捉えるための研究を紹介します。
1 本号の内容
日本では高度経済成長とともに湖の水質環境は変化し、1970年代には湖面に藻類が発生し悪臭や毒素を発生させる、いわゆる「アオコ」が社会問題となりました。国立環境研究所では1976年から今日まで43年にわたり霞ヶ浦(西浦)における水質や生物に関わる調査を実施しており、アオコは調査開始時から1986年頃まで毎年のように発生が確認されました。一時は消えたと思われたアオコですが、20年以上経った2011年にも大発生し、その間どのように挙動していたのか、さらなる調査が必要です。
アオコの発生原因である藻類のシアノバクテリアの多様性や存在量を明らかにするため、次世代シークエンサーを用いてシアノバクテリアの一種であるMicrocystis aeruginosaの遺伝子を解析した結果、毒素を産出する系統も含めた12のグループがあることがわかりました。本号では遺伝子解析によって明らかになったアオコ原因シアノバクテリアの動態や多様性について紹介します。
○Interview研究者に聞く「アオコ原因シアノバクテリアの遺伝子解析からアオコの生態をさぐる」
霞ヶ浦は茨城県南東部に広がり、古くから人々の生活に関わる身近な湖です。1970年代はじめまでは水生植物が繁茂していましたが、1970年代中頃になるとアオコの大量発生などの異変が起こるようになりました。国立環境研究所ではこのような霞ヶ浦の変化の原因を解明するため、1976年から霞ヶ浦の水質や生物に関わる調査を続けています。アオコ現象を解明するためには、アオコ原因シアノバクテリアの多様性・存在量を正確に把握することが重要です。
本号では、DNAの塩基配列を解析することによってアオコ原因シアノバクテリアの多様性を解明する研究を紹介します。
<研究担当者>
地域環境研究センター 環境技術システム研究室 主任研究員
生物・生態系環境研究センター 生物多様性資源保全研究推進室 主任研究員
アオコの発生原因となるシアノバクテリアは小さくて顕微鏡でしか見ることができません。しかし、この小さい生き物が私たちの生活を脅かすことがあります。私たちは、この小さな生き物について、遺伝子を武器に解析しました。
○研究をめぐって「アオコの発生しない湖のために私たちは何をすればよいのでしょうか」
日本でアオコが問題になってから50年が経ちました。その間にアオコの原因となるシアノバクテリアの生態も明らかとなり、私たち自身が湖のアオコを招いていることもわかってきました。霞ヶ浦西浦の大規模なアオコは収束方向にあるように見えますが、霞ヶ浦北浦、八郎湖、そして世界にはアオコで困っている湖がまだまだたくさんあります。アオコ原因シアノバクテリアの研究を通じてアオコの発生をコントロールしながら、アオコの発生しない湖を目指したいと思います。
2 閲覧・入手についての問い合わせ先
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本号掲載URL
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既刊「環境儀」掲載URL
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国立環境研究所 環境情報部情報企画室出版普及係
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