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2011年12月5日

世界金融危機からの回復に伴い、2010年の世界の二酸化炭素排出量および大気中の二酸化炭素濃度が記録的水準に上昇

(筑波研究学園都市記者会、 環境省記者クラブ同時配)

平成23年12月5日(月)
独立行政法人国立環境研究所(029-850-内線番号)
グローバルカーボンプロジェクト(GCP)つくば国際オフィス事務局長
ソバカル・ダカール (2672)
地球環境研究センター 主席研究員 山形与志樹(2672)

 グローバルカーボンプロジェクト(GCP) (注1) は、世界金融危機によって2008〜2009年に減少した世界の二酸化炭素排出量が、2010年では前年比5.9%の増加に転じ、また、大気中の二酸化炭素濃度は389ppmという記録的な水準に達したことを明らかにしました。

 この研究成果をまとめた評価報告書は、2011年12月5日(日本時間午前3時)にNature Climate Change(英国気候変動専門月刊誌)電子版に掲載の予定です。

 GCPは、Nature Climate Change誌に掲載される評価報告書「Rapid growth in CO2 emissions after the 2008-2009 global financial crisis」において、世界金融危機によって2008〜2009年に減少した世界の二酸化炭素排出量が、2010年では前年比5.9%増という記録的な増加に転じたことを明らかにしました。

 この評価報告書では、新興経済圏における二酸化炭素排出量が急増していることと、経済先進国の排出量が増加に転じたことにより、世界金融危機に起因した排出量低減効果は短命に終わったと分析しています。

 2010年において世界の二酸化炭素排出量増加に最も大きく影響したのは中国、アメリカ、インド、ロシア連邦及び欧州連合で、さらに新興経済圏からの排出量も依然として増加を続けており、(独)国立環境研究所GCPつくば国際オフィス事務局長のソバカル・ダカール博士は、「世界金融危機は世界経済を二酸化炭素大量排出への道から引き戻す機会であったが、実現されていない」と述べています。

 また、2010年の大気中の二酸化炭素濃度が、少なくとも過去80万年の記録の中で最も高い水準である389ppmに達したことも判明しました。

 さらに詳しい情報については、以下のウェブサイトをご参照ください。
   (2011年12月5日(月)以降掲載)
   http://www.globalcarbonproject.org(英文)   

※GCPは毎年評価報告書を作成し、人間の活動に由来する炭素収支について最新の数値を示しています。 

(注1) 地球環境変動にかかわる国際研究計画(IGBP, IHDP, WCRP, DIVERSITAS)の連携による「地球システム科学パートナーシップ(ESSP)」がスポンサーとなって2001年に発足した国際研究計画。グローバルな炭素循環にかかわる自然と人間の両方の側面とその相互作用について、自然科学と社会科学を融合した分析を実施し、国際的な炭素循環管理政策の策定に役立つ科学的理解を深めることを目的とする。
(独)国立環境研究所と豪州連邦科学産業研究機構に事務局が設置されている。


【お問い合わせ】

(独)国立環境研究所
地球環境研究センター 主席研究員
山形与志樹
Tel: 029-850-2672, Fax: 029-850-2960

豪州連邦科学産業研究機構 海洋大気研究部門
GCPキャンベラ国際オフィス事務局長
ペップ・カナデル(Pep Canadell)
Tel: +61-408-020-952

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