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2022年8月31日

20220831-logo
個人のカーボンフットプリントを可視化し
脱炭素ライフスタイルの選択肢を提案する
プラットフォームを共同開発

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)

2022年8月31日(水)
国立研究開発法人国立環境研究所
資源循環領域
研究員     小出 瑠
准特別研究員  畑 奬
主任研究員   河井 紘輔
主任研究員   飯野 成憲
主任研究員   多島 良
室長(PG総括)  南齋 規介
 

   国立研究開発法人国立環境研究所 資源循環領域と一般社団法人コード・フォー・ジャパン(以下「Code for Japan」という。)らの研究開発チームは、市民ひとりひとりが自らの生活スタイルとカーボンフットプリント(モノやサービスの消費によって直接・間接的に生じる温室効果ガス排出量)との関係を知り、定量的な診断結果に基づいて具体的な脱炭素アクションを選ぶことができるカーボンフットプリント可視化プラットフォームを共同開発しました。
   脱炭素型社会の実現には、行政や企業の取り組みを待つだけでなく、市民の自発的な行動変容とこれを支援する仕組みが必要です。そのために、国立環境研究所 資源循環領域の研究成果を基に開発した本プラットフォームの活用に向けて、オープンソースソフトウェアを無料公開しました。今後、企業や行政、市民によるソースコードを利活用したカーボンフットプリントの可視化と削減を支援するアプリケーション等の開発が広がり、行動変容をもたらす社会の仕組みづくりに活用されることが期待されます。
   本プラットフォームの利活用の第一弾として、Code for JapanよりWebアプリ「じぶんごとプラネット」が2022年8月31日にリリースされます。このWebアプリでは、移動・住居・食・モノとサービスに関する約10個の簡単な質問に答えることで、誰でも無料で自分の生活スタイルから生じるカーボンフットプリントと自分に合った脱炭素アクションを知ることができます。

1.脱炭素型ライフスタイルを後押しする仕組みづくり

 気候変動による異常気象、海面上昇、生態系破壊などが国際的にも注目される中、日本でも、大型台風、集中豪雨、最高気温35℃以上の猛暑日などの異常気象が起きています。こうした気候変動による自然災害、食料供給、経済システムへの悪影響を食い止めるには、産業革命後の気温上昇を1.5〜2℃以内に抑えることが必要です1
 移動、住居、食、衣類など、私たちの暮らしを支えるあらゆるモノやサービスは、これらが作られ、運ばれ、捨てられるまでの間に温室効果ガスを排出します。私たちの暮らしによって発生する温室効果ガスの量は日本のカーボンフットプリント全体の約6割を占めています2。モノを買う、使う、捨てる、食べる、移動する、電気を使うといった毎日の生活や、住んでいる街、住居、車のあり方をライフステージの節目で考えるなど、それぞれの市民にしかできない脱炭素アクションの選択肢があります。
 これまで国立環境研究所では「脱炭素型ライフスタイルの選択肢」データベース2を公開するなど、都市別のカーボンフットプリントデータの公開に取り組んできました。しかし、こうした国や都市の平均値では、市民ひとりひとりの多様なライフスタイルの違いを捉えることはできていませんでした。こうしたニーズに対し、自分のカーボンフットプリントを診断できるツールは海外では多く公開されていますが、日本を対象として定量的なエビデンス(科学的根拠)に基づく選択肢を提案するツールは公開されていませんでした。

2.カーボンフットプリント可視化・選択肢提案プラットフォームの特徴

 国立環境研究所とCode for Japanが共同開発したプラットフォーム3の特徴は次のとおりです。

1) 日本のライフスタイルや特徴に合ったカーボンフットプリントの可視化

 本プラットフォームでは、国立環境研究所のカーボンフットプリントに関する研究成果を活用し、移動・住居・食・モノとサービスに関する簡単な設問への回答からユーザー個人のカーボンフットプリントを算出します。日本のライフスタイルの特徴に合った設問および消費量や排出原単位データを用いているため、より精度の高いカーボンフットプリントを算出することができます。

2) 脱炭素アクションの具体的な選択肢を数字で提案

 ユーザーごとに算出されたカーボンフットプリント量に基づき、それぞれのユーザーに合った脱炭素アクションの選択肢をカーボンフットプリントの削減量とともに提案します。このような定量的なエビデンス(科学的根拠)に基づいた選択肢の提案により、効果的な脱炭素アクションの普及と促進が期待されます。

3) オープンソース開発に誰でも貢献できるプラットフォーム

 本プラットフォームは、Code for Japanが主催するシビックテック4開発イベント「ソーシャルハックデー」を中心に、Code for Japanが運営するシビックテックコミュニティのエンジニアやデザイナーの貢献により開発されました。今後も、機能の追加や更新をオープンソースで継続することで、脱炭素型社会への転換を支援するツールづくりに誰もが参加できる体制を構築しました。
 今回開発されたプラットフォームは、営利目的での利用も含めて許諾される「MITライセンス」によりソースコードを公開・提供します。企業や行政機関などは、このソースコードを活用し、脱炭素型ライフスタイルを後押しするためのカスタマイズされたツールを開発・公開することができます5

ソースコードの公開URL
https://github.com/codeforjapan/JibungotoPlanet-backend

 今後、スマートメーターやIoT家電、家計簿アプリとの連携、ゲーミフィケーション、行動インサイトを統合したスマホアプリの開発、自治体などによる環境啓発や政策形成への活用など、本プラットフォームを起点とし、さまざまな企業や団体による脱炭素型社会へ向けた行動変容を後押しする仕組みづくりへの活用が期待されます。

3.同時リリースされるWebアプリ「じぶんごとプラネット」

 今回、開発されたソースコードを用いたWebアプリは、Code for Japanから「じぶんごとプラネット」として同時リリースされます。
 このアプリを用いて移動・住居・食・モノとサービスに関する約10個の簡単な質問に答えることで、誰でも無料で自分の生活スタイルから生じるカーボンフットプリントと自分に合った脱炭素アクションを知ることができます。

Code for Japanが実装・サービス提供するWebアプリの画面例

Code for Japanが実装・サービス提供するWebアプリの画面例の画像
Webアプリ「じぶんごとプラネット」のURLの画像

Webアプリ「じぶんごとプラネット」のURL
https://jibungoto-planet.jp

4.注釈

1 詳細は気候変動に関する政府間パネル(IPCC) (2022) 第6次評価報告書をご参照ください。https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar6/index.html 2 詳細は国立環境研究所 (2021)「国内52都市における脱炭素型ライフスタイルの選択肢:カーボンフットプリントと削減効果データブック」をご参照ください。 https://lifestyle.nies.go.jp/ 3 個人のカーボンフットプリント推定と脱炭素アクションの選択肢提示のための基盤となる考え方、データセットおよび計算ツール一式 4 市民(シビック)が主体となり、技術(テック)を活用し、社会課題の解決や行政サービスの改善につなげる取り組み 5 ソースコードをご活用される際は、ライセンス条項と説明事項をご確認ください。https://github.com/codeforjapan/JibungotoPlanet-backend

5.問い合わせ先

【研究に関する問い合わせ】
国立研究開発法人国立環境研究所
資源循環領域 国際資源持続性研究室
研究員 小出 瑠

【報道に関する問い合わせ】
国立研究開発法人国立環境研究所 企画部広報室
kouhou0(末尾に@nies.go.jpをつけてください)
029-850-2308