2020年11月24日
湖水と魚類の放射性セシウム濃度は季節変動しながらゆっくり減少
―底層の溶存酸素濃度の低下による底泥からの放射性セシウムの溶出を示唆―
福島原発事後から5年間にわたり霞ヶ浦において湖水中の放射性セシウム濃度観測をした結果、湖水中および魚類に含まれる放射性セシウム濃度が季節変動しながらゆっくり減少していること、夏にわずかに高くなることを明らかにしました(※飲料水や水産物中の放射性物質の基準値を大きく下回る)。
2020年11月10日
霞ヶ浦の多面的な経済価値を算出
~多様な恵みを提供する湖、水質の改善と生物の保全が重要~
当研究所、茨城県霞ケ浦環境科学センター、いであ株式会社の共同研究チームは、霞ヶ浦から得られる自然の恵み(生態系サービス)の価値を複数の経済学的な評価手法を用いて多面的に評価した結果、霞ヶ浦の生態系サービスの経済的価値が少なくとも年間1217億円に及ぶことなどを明らかにしました。
2020年10月15日
森のシカは、夏は落ち葉を、冬は嫌いな植物を食べて生きぬく
シカ糞の遺伝情報から、シカの食べる植物の季節変化を解明
シカ糞の遺伝情報から、森林に生息するシカが食べる植物が季節によって異なることを解明し、植生が衰退した森林においてシカが生息できるメカニズムの一端を明らかにしました。今後、シカの個体数管理や森林の植生の再生に活用されることが期待されます。
2020年9月18日
当研究所と早稲⽥⼤学の研究チームは、安価で省電⼒な光センサーを応⽤して棒の先にとまった⾚とんぼ類を⾃動撮影する装置を発明し、実際に野外に設置して精度よく撮影が可能であること、⼀か⽉に⼀度程度カメラの電池を交換するだけで野外で数カ⽉間以上実働可能なことを確認しました。
2020年9月10日
霞ヶ浦流域の大気中アンモニア濃度分布を初調査 湖面沈着量も推計 冬季に濃度高い傾向 富栄養化対策に継続的観測を
茨城大学、当研究所、気象研究所、京都大学、森林総合研究所などによる研究グループが、茨城県の霞ケ浦流域における調査により、同流域の大気中アンモニア濃度が季節風の影響によって空間的に不均一となり、とくに冬季に高くなることを明らかにしました。
2020年9月7日
⼈が帰るのを待つカエル達︖〜⾳声モニタリングによる福島県避難指⽰区域内および周辺のカエル類出現分布データの公開〜
当研究所の研究チームは原発事故後、無居住化した地域の⽣態系変化を追跡するために実施していたカエル類の⾳声モニタリング調査の結果を「データペーパー」形式で公開しました。原発事故による避難指⽰区域とその周辺のカエル類の分布情報をこのように網羅的・系統的に整備して公開する例は世界初です。
2020年9月7日
特定外来植物「ヒガタアシ」の日本への侵入経路を解明
原産地の北米東部から中国を経由した二次的な経路で侵入
近畿大学農学部、当研究所、兵庫県立大学自然・環境科学研究所、兵庫県立人と自然の博物館、日本スパルティナ防除ネットワークによる研究グループは、特定外来生物のイネ科「ヒガタアシ」の遺伝子解析および侵入地の近隣港湾の貿易統計の解析を行いました。その結果、北米から意図的にヒガタアシを導入した中国を経由し、二次的な経路で日本へ侵入したことを解明しました。
2020年7月3日
汲んだ水から魚を数える
-環境DNA分析による個体数の推定法を実証-
当研究所、 東北大学、島根大学、京都大学、北海道大学、神戸大学の共同研究チームは、水中に含まれる生物由来のDNA(環境DNA)の分析から対象生物の個体数を推定する新手法を開発しました。この新手法の開発は、海や湖などの水域生態系を定量的にモニタリングするための効率的な新技術の実現につながることが期待されます。
2020年6月4日
日本の水草に気候変動の影響-120年・248湖沼のデータから見えてきた絶滅リスク-
全国湖沼の水草の過去の分布記録を活用し、水草の種類構成の変化に影響する要因を解析しました。結果、湖沼の地形学的特徴や周辺の土地利用だけでなく、気温や降水量といった気象条件の影響が大きいことが明らかになりました。
2020年5月14日
生態調査の記録や生物種の地理分布情報を大規模に集積、統計的にモデル化することで、日本の自然林に分布する1,200種以上の木本植物の個体数の推定に成功しました。
本木植物の個体数の地理分布をこれほど広域で網羅的に定量化した事例は本研究が初めてです。
2020年2月28日
放射性セシウムが魚に蓄積しやすくなる要因は湖と川で大きく異なることが判明
ヤマメやイワナなどの「淡水魚」30種について福島県内の湖、河川で調査し、湖では、魚が何を食べるか(食性)が、川では、食性よりも水質が、魚への放射性セシウム蓄積に大きく関係していることが分かりました。
2020年1月10日
限られた生物分布データから、よりよい保護区を選定-環境情報を利用したデータ処理が有益となる条件を明らかに-
保護区選定において、分布推定モデルによるデータ処理(環境情報を利用した分布データの補完・補正処理)の有効性を分析し、「データの偏りが大きい」、「保護区が広くない」などの条件を満たす場合にのみ、本データ処理が有益であることを明らかにしました。
2019年11月28日
ニホンミツバチは外来ダニをうまく払い落とせない
-日本固有種への被害はなぜ起こったか-
近年ニホンミツバチの気管で増殖して大きな被害をもたらしている寄生性ダニ「アカリンダニ」が、なぜニホンミツバチだけで重症化し、セイヨウミツバチでは問題にならないのかについて、ミツバチの行動の違いを明らかすることで、その要因を究明しました。
2019年10月28日
携帯電話ビッグデータからわかる自然の価値
~気候変動で全国の砂浜価値が変わる!?~
携帯電話から得られる位置情報ビッグデータを環境価値評価手法に統合することで、全国の砂浜のレクリエーション価値を評価、さらに、気候変動による海面上昇による砂浜のレクリエーション価値の変化の予測から、砂浜の価値が現在と将来で変化する可能性を示しました。
2019年9月17日
ビビりなやつほど生き残る!?
外来マングースによって在来カエルの逃避行動が急速に発達!
~外来種による在来種への影響の新たな側面~
マングースの影響を強く受けた地域のカエルは、影響の弱かった地域のカエルと比べ、すぐに逃げ出すことが明らかとなりました。これは、外来種が在来種の行動をも変えてしまうことを示しています。
2019年8月2日
製鉄が野生動物に与えた影響は千年紀を超えて残る
~生物と遺跡の地理的分布から見えたこと~
製鉄などの太古の人間活動が、現在の哺乳類の地理的分布を説明する重要な要因であることを、生物分布と遺跡分布の統計分析によって初めて明らかにしました。
2019年7月16日
太古の世界で私達の共通祖先が繁栄を勝ち得た仕組みが明らかに!
~「クロロフィルを安全に食べられる」よう進化した生物~
動物や植物などの共通祖先は、地球の生態系を支える光合成で使われるクロロフィルを安全に食べられるように進化した生物だったことが明らかになりました。
2019年4月19日
新たな試験藻類の国内での分譲開始について
(OECDテストガイドライン201藻類生長阻害試験推奨藻類)
国内最大の藻類カルチャーコレクションである当研究所微生物系統保存施設(NIESコレクション)では、OECDテストガイドライン201藻類生長阻害試験(OECD TG201)に掲載されている全ての推奨種の藻類株を供給することになりました。
2019年3月1日
ヒアリ早期発見のための
「ヒアリDNA検出キット改良版」の試験希望機関の募集
特定外来生物ヒアリ検出法を開発し、ヒアリDNA検出キットが完成しました。
試験希望機関に無料で配布し、広い範囲でヒアリの侵入をモニタリングできる環境の構築を目指します。
2018年11月22日
多すぎると余り、馴染みのものはよく使う
-山菜・薬草の利用供給バランスは気候・社会的な影響を受ける-
私たちに恵みをもたらす生態系サービスの一部である山菜や薬草。これらの資源を持続的に利用するためには、利用と供給のバランスを把握することが大切です。本研究は、利用供給バランスには気候や社会的な要因が影響していることを明らかにしました。
2018年11月16日
半永久的に細胞増殖可能なヤンバルクイナ由来細胞の樹立
-鳥類細胞の細胞増殖制御機構の一部を解明!-
世界で初めて「絶滅危惧鳥類」の無限分裂細胞の樹立に成功しました。
この無限分裂細胞を用いれば、絶滅危惧種を取り巻く感染症や汚染物質などの細胞レベルでのリスク評価を、比較的簡便に行うことができます。
2018年11月13日
水生植物を効果的に保全するには?
-種の生活史特性を考慮した保全対象地の選択が有効-
415のため池(東広島市)に生育する水生植物62種の過去37年間の在・不在データの解析から、生物の生活史特性と個体群動態を考慮した保全計画を行うことが重要であることを明らかにしました。
2018年8月24日
近くて遠いお隣さん-生息地の分断により、わずか1㎞の距離でもアマミノクロウサギの遺伝子交流が絶たれる-
徳之島に生息するアマミノクロウサギは数千年以上前から南北の生息地が分断されていた可能性が高いことを遺伝解析により明らかにしました。
2018年8月21日
生態系の“熱帯化”:温帯で海藻藻場からサンゴ群集への置き換わりが進行するメカニズムを世界で初めて解明-気候変動、海流輸送、海藻食害による説明-
国内の温帯で急速に進行している海藻藻場の分布縮小と造礁サンゴ群集の分布拡大の全貌を初めて明らかにし、海藻藻場からサンゴ群集への置き換わりが進行するメカニズムを世界で初めて解明しました。
2018年8月6日
世界各地の雪氷環境に生息する雪氷藻類の遺伝子解析を行い、特定の藻類種が北極と南極の両極から共通で検出されること、それらは現在も分散・交流している可能性があることを明らかにしました。
2018年7月27日
市民参加型イベント「バードデータチャレンジ in いわき2018」
-開催のお知らせ-
今回で4度目となる市民参加型イベント『バードデータチャレンジ』を、10月27日(土)に、福島県いわき市にて、日本野鳥の会いわき支部との共催で開催します。
2018年6月21日
熱水化学合成生態系の回復速度の地図化に成功
-コンピュータシミュレーションによる予測-
西太平洋に点在する熱水化学合成生態系ネットワークを再現するコンピュータシミュレーションモデルを開発し、海底資源開発による生態系撹乱後の回復速度の予測を可視化することに成功しました。
2018年5月29日
世界初、緑藻ムレミカヅキモの全ゲノム解読に成功
~迅速で効率的な生態毒性評価試験への応用につながる成果~
OECD(経済協力開発機構)が定める生態毒性試験の推奨種として世界中で広く用いられているムレミカヅキモの全ゲノム情報解読に世界で初めて成功しました。
2018年5月8日
ヒアリ早期発見のためのLAMP法による
ヒアリDNA検出キットの試験配布
特定外来生物ヒアリの侵入・定着を早期に発見して、早期の防除を可能とするための検出法を開発し、検出キットのプロトタイプを作成しました。
2017年8月28日
福島県避難指示区域内および周辺の鳥類出現分布データの公開について
「オープンサイエンス」の観点から、市民参加型イベントを通じて一部のデータを得るとともに、得られたデータを『データペーパー』という形態で公開しました。
2017年7月14日
市民参加型イベント「バードデータチャレンジ in 白河 2017」を開催します
今回で3度目となる市民参加型イベント『バードデータチャレンジ』を、10月14日(土)に、福島県西白河郡にて、日本野鳥の会白河支部との共催で開催します。
2017年6月30日
水田消滅による里地里山の変貌を地図化
~水域と陸域の違いを考慮した農地景観多様度指数の開発~
当研究所は、世界で初めて、水域と陸域のような生態学的に異質な土地タイプがバランスよく含まれている農地景観ほど高い数値を示す「農地景観多様度指数」を考案しました。
2017年6月13日
特定外来生物アルゼンチンアリの地域根絶について
~数理統計モデルを用いた根絶評価手法の確立~
本研究成果は、防除地域におけるアルゼンチンアリの残存確率を、統計学的根拠に基づき評価した世界初の事例です。
2017年5月8日
ニワトリ体細胞からの効率的なiPS細胞の樹立
絶滅危惧鳥類に対する感染症や農薬等の影響評価への応用も!
当研究所は、Oct3/4という遺伝子の働きを高めることでニワトリのiPS細胞(人工多能性幹細胞)を効率的に樹立できることを発見しました。
2016年11月7日
分布が狭い植物ほど、自然保護区で守れない !?
~無計画な保護区設置が導く絶滅への悪循環~
本研究は、国立大学法人東京農工大学大学院、国立研究開発法人国立環境研究所、公益財団法人日本自然保護協会、The University of Queenslandの研究チームで実施しました。
2016年8月5日
絶滅危惧鳥類3種(ヤンバルクイナ、タンチョウ、コウノトリ)
の全ゲノムの塩基配列を解読
当研究所、酪農学園大学、京都大学は、絶滅危惧鳥類3種の全ゲノムの塩基配列解読をおこない、ドラフトゲノム情報を日本DNAデータバンク(DDBJ)に掲載して公表しました。
2016年7月8日
市民参加型イベント「バードデータチャレンジ in 郡山2016」を開催します
当研究所は、2015年に福島市で市民参加型イベント『バードデータチャレンジ in 福島』を開催しました。今回は2度目となる『バードデータチャレンジin 郡山』を10月8日に郡山市で日本野鳥の会郡山支部との共催で開催します。
2016年7月7日
道路沿いの遺伝子組換えナタネの分布調査
~生き残りに道路の排水管理が関与?~
当研究所は国道23号線沿いの除草剤耐性遺伝子組換えセイヨウナタネ(GMセイヨウナタネ)の分布について3年間にわたり詳細な調査をおこないました。
2016年6月2日
野ネズミの精巣と精子への原発事故後の放射線の影響~福島県内汚染地と非汚染地のアカネズミで精子形成に差は見られず~
当研究所は、北里大学と富山大学と共同で福島第一原発事故による野生生物への放射線影響研究として、放射線量の高い地域と放射線量の低い地域においてアカネズミを捕獲し、精巣及び精子への放射線影響の有無を調査しました。