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2022年11月29日

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零細および小規模金採掘における水銀に関する
国際的な情報交換を行うイベント開催について(報告)

(筑波研究学園都市記者会、環境記者会、環境省記者クラブ同時配付)

2022年11月29日(火)
国立研究開発法人国立環境研究所
資源循環領域 国際資源持続性研究室
 主幹研究員      中島 謙一
 特別研究員(開催時)  程 英超
資源循環・廃棄物研究国際支援オフィス
 オフィスマネージャー 石垣 智基
 高度技能専門員    稲場 香絵
 

   国立環境研究所資源循環領域は、零細および小規模金採掘における健全な水銀管理の実現に向け、水銀の使用、貿易、排出を減少させるための研究成果の発信と専門家・有識者らとの連携強化を目的に、2022年10月30日(日)に福岡国際会議場にて「Mercury Legacy in Artisanal and Small-Scale Gold Mining」をハイブリッド形式で開催しました。
   「エコバランス国際会議」の公式パートナーイベントとして実施された本イベントでは、水銀の使用・貿易、そして環境汚染等の課題に関する活発な情報交換が行われ、今後も各国・地域の関係者が引き続き尽力するとともに、課題解決に向けてより一層の連携および技術支援を進めていく必要性が共有されました。
 

1.開催概要

日程   :2022(令和4)年10月30日(日)
開催方法 :ハイブリッド形式(一部オンラインにて実施)
会場   :福岡国際会議場 (福岡県福岡市博多区石城町2-1)

2.出席者・参加国

 国際連合(水銀に関する水俣条約事務局の行政官)、環境省、チリ、カナダからの有識者を含め15名の発表者のほか、TAUWやEPA(アメリカ合衆国環境保護庁)、台湾、および日本国内からオンサイトおよびオンラインで計38名が視聴参加しました。

3.報告概要と今後の展望

 国立環境研究所資源循環領域(以下「当領域」という。)は、人為的な水銀サイクルの把握・管理を進めるべく、環境研究総合推進費SⅡ-6-2「有効性評価に資するシナリオ分析モデルの開発(JPMEERF20S20620)」に取り組むと共に、京都大学、立命館大学、広島大学、東北大学と連携して、水銀排出量の将来推計、不適切な水銀流通の把握、水銀の使用や排出を削減・廃絶する為の対策立案を含む研究、更には、資源利用に伴う社会的課題の可視化に取り組んでいます。水銀によるアマルガム法*1を採用している零細および小規模金採掘(ASGM:Artisanal and Small-scale Gold Mining)は、水銀汚染の元凶の一つであり、違法・不法・未認可を含む不適切な操業が多いことから、操業状況や水銀流通の把握を含めて、対処すべき問題が多く存在しています。

 「Mercury Legacy in Artisanal and Small-Scale Gold Mining*2」は、同会場で開催された「エコバランス国際会議*3」の公式パートナーイベントとして開催されました。当日は、多く存在するASGMの取り組むべき課題のうち、水銀の使用と貿易、モニタリングと検出、対策と効果について発表しました。発表後には、水銀使用の削減・廃絶に向けた対策技術に関する高い見識を持ち合わせた専門家を招いて、より深い意見交換を行いました。

 水銀の使用と貿易の議題では、ASGMにおける世界的な水銀のマテリアルフローに関する統計上の不整合に着目した2講演ののち、国内での流れなど現状の情報共有が環境省より行われました。その後、ASGMやその水銀汚染に関するモニタリングと検証に関して3講演、続いて、水銀の使用・排出に関する対策技術に関する2講演に加えて、ASGMの実態把握やその課題解決に取り組む専門家より実態と課題が紹介されました。最後に各議題について有識者からの知識や意見の共有を受けることで議論を深め、活発な意見交換が行われ、ASGMにおける不適切な水銀使用の廃絶、健全な水銀管理を実現する為の課題と研究展望について相互理解を深めました。また、引き続き各国の関係者が尽力するとともに、課題解決に向けてより一層の連携および技術支援を含む社会的支援介入を進めていく必要性が共有されました。

 当領域は、有害化学物質の管理や環境汚染改善に資するため、使用量、流通量、排出量・放出量を削減するための研究に注力し、不適切な水銀流通の廃絶とプラネタリーヘルスの実現に向け、実態把握や技術支援に引き続き貢献していきます。

*1 鉱石に含まれる金や銀を水銀とのアマルガム(水銀と他の金属の合金)にして抽出した上で、水銀を蒸発させて金や銀を回収する製錬法

*2 本イベントは、環境研究総合推進費SⅡ-6-2「有効性評価に資するシナリオ分析モデルの開発」(JPMEERF20S20620)、科学研究費助成事業「小規模金採掘(ASGM)実施国への不適切な水銀貿易の検出法の開発」(KAKENHI 21K17922)、JST未来社会創造事業「鉱物資源のサプライチェーンリスク最小化に向けたリソースロジスティクス解析システムの構築」(JPMJMI21I5)の協力の下で開催しました。

*3 1994年から日本で隔年開催され、製品やサービスのライフサイクルにおける環境負荷低減を目指した研究・調査などについて講演や発表が行われる国際会議です。2022年10月30日から11月2日にかけて、第15回エコバランス国際会議(EcoBalance2022)が福岡国際会議場で開催されました。

イベントのプログラム
イベントのプログラム(PDF
有識者による発表の様子の写真
有識者による発表の様子
イベント終了後の集合写真
イベント終了後の集合写真

【関連する学術論文】

中島謙一, 花岡達也, 南齋規介, CHENG Yingchao (2021) 人為的活動に伴う水銀の大気排出量のベースラインシナリオと排出削減への課題. 廃棄物資源循環学会誌, 32 (5), 376-383

Cheng Y., Nakajima K., Nansai K., Seccatore J., Marcello M. Veiga, Takaoka M. (2022) Examining the inconsistency of mercury flow in post-Minamata Convention global trade concerning artisanal and small-scale gold mining activity. Resour. Conserv. Recycl. 185, 106461

Kosai S., Nakajima K., Yamasue E. (2023) Mercury mitigation and unintended consequences in artisanal and small-scale gold mining. Resour. Conserv. Recycl. 188, 106708

Fuse M., Oda H., Noguchi H., Nakajima K. (2022) Detecting Illegal Intercountry Trade of Mercury Using Discrepancies in Mirrored Trade Data. Environ. Sci. Technol. 2022, 56, 19, 13565–13572

【問い合わせ先】

<研究に関する問い合わせ>
国立研究開発法人 国立環境研究所 資源循環領域
国際資源持続性研究室
主幹研究員 中島 謙一

資源循環・廃棄物研究国際支援オフィス
オフィスマネージャー 石垣 智基
高度技能専門員 稲場 香絵

<報道に関する問い合わせ>
国立研究開発法人国立環境研究所 企画部広報室
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