受賞のお知らせ~
石濱 史子 主幹研究員らが環境省自然環境局より特別賞を受賞
概要
受賞者氏名: 石濱 史子(生物多様性領域)、小出 大(気候変動適応センター)、ZHAO Xuequn(生物多様性領域)、西廣 淳(気候変動適応センター)
賞の名称: 特別賞
授賞機関: 環境省自然環境局
受賞年月日: 2024年06月21日
受賞対象: 生き物の分布推定ツールオープンSDM, 第7回自然環境共生技術研究会, 同予稿集, 11-11, 2024

ひとこと
生物種分布推定モデル(Species Distribution Models、以下、SDM)は、環境条件と観測された生物の分布情報の関係を統計的なモデルで記述することで、生物の限られた実分布情報から広域的な分布や、将来の分布を推定・予測するモデルです。近年、生態学分野ではSDMを用いた研究が急増しており、生物多様性保全における応用的利用も拡大が予想されます。その一方で、適切な推定結果を得るためには複雑なデータ処理と高度な専門知識が必要であることはあまり知られていません。オープンSDMは、グラフィカルユーザーインターフェースで操作可能なR言語のオープンソースパッケージで、英語パッケージwallaceを日本語化するとともに、日本での分析をしやすくする改良を加えています。生物分布情報や環境情報の整備・クリーニング、モデルのパラメータ調整や精度評価と、複雑なSDM解析のプロセスを1つのパッケージで完結することができます。分析プロセスごとに解説が提供されており、読みながら分析を進めることで、適切な分析方法について学ぶことができます。本ツールは国立環境研究所の気候変動適応情報プラットフォームから提供されており、誰でも自由に使用できます(https://adaptation-platform.nies.go.jp/map/open_sdm.html)。本ツールを使って頂くことで、多様な主体により生物多様性保全のための適切なSDM解析の活用が進むことを期待するとともに、今後も新たなSDM解析技術を実装することによってツールの改良を行っていきます。