新刊・近刊紹介
国立公害研究所研究報告(R—122—'89)
「疑似ランダム変調CWライダーの開発とフィールド観測への応用」(平成元年3月発行)
本報告書は、著者らが独自に考案・開発した疑似ランダム変調方式CWライダーの原理、基本動作、設計製作、フィールド観測における応用例をまとめたものである。本方式は平均パワーはあるが、ピークパワーは大きくとれないレーザー光源に適しており、単一モード動作のCW半導体レーザーはこれに該当する。CW半導体レーザーは小型・低価格で、信頼性も向上しているので携帯可能なライダーシステムの実現も可能となる。本研究では一人で操作可能なライダーシステムの製作を目標に、受信信号を連続に取り込む信号処理装置を独自に設計し、排煙・雲などの高濃度な散乱体はもとより、大気中の浮遊粒子の空間分布も測定された。この装置を使用して視程や道路沿道の粉塵の時間変化の観測等のフィールド観測に応用した結果を報告する。
国立公害研究所研究報告(R—123—'89) 「バックグラウンド地域における環境汚染物質の長期モニタリング手法の研究(II)離島及び山岳地における大気汚染成分濃度とその変動」昭和58-62年度特別研究報告(平成元年3月発行)
環境汚染が時間的及び空間的にどのように進行しているかを知るためには、バックグラウンド地域での汚染物質の長期的なモニタリングが不可欠である。本報告は特に離島及び山岳地での大気汚染物質の濃度及びその挙動に関し4年間余りの観測結果をまとめたものである。日本が偏西風下にあることから、離島として日本海沖に位置する隠岐島が選ばれ、大気粉じん成分の季節変動や風向きによる大気汚染成分の変動等に関して貴重なデータを採取している。山岳地では主に対流圏下層オゾンに関して長期的かつ広範な観測が行われ、日本列島におけるオゾンのバックグラウンド濃度レベルとその変動に関して有用な知見が得られている。
国立公害研究所研究報告(R—124—'89)
「環境科学研究用に開発したニホンウズラの遺伝学的及び微生物学的特性」昭和55〜63年度経常研究報告(平成元年3月発行)
本研究報告書は、環境科学研究用に有益な実験動物(鳥類)として開発したニホンウズラを遺伝学的及び微生物学的側面から純化をより推進させることによって、その有用性の向上と研究の発展に寄与することを目的としてなされた研究をとりまとめたものである。内容は、実験動物としての開発・改良に関するもの1編、育種遺伝学的モニタリング技術の開発に関するもの3編、微生物学的純化に関するもの1編、環境汚染ガスに対する感受性試験に関するもの1編、及び染色体分析技術開発に関するもの1編(付録)から構成されている。このうち遺伝学的モニタリング技術の開発は、家畜衛生試験場、東北大学、山形大学と共同で行ったものである。主な成果として、環境科学研究用に開発したウズラ2系統は抗体産生能の高及び低応答系に明確に分系育種され、遺伝学的にも純化されるとともにNO2感受性がマウス・ハムスターより著しく高いことが明らかにされた。
目次
- 創立15周年を迎えて巻頭言
- 満16年以後に向けて
- さらに開かれた研究所をめざして
- なぜ環境は護らねばならないか?—いま求められる新たな論理—
- 環境科学の研究には複眼的視野をもった専門バカが必要です
- 地球規模大気環境問題を考える
- 情報の流れの良し悪し
- 長期吸入暴露実験について
- 環境保健研究のあり方
- 生物分野から見た今後の環境研究
- 大型施設の課題
- 【環境週間のお知らせ】
- 酸性雨問題と環境庁の取り組み酸性雨シリーズ(1)
- 長距離輸送中に起こる種々の大気汚染の形態酸性雨シリーズ(2)
- UNEP/GRIDバンコクNodeに赴任して海外からのたより
- フロンによる成層圏オゾン破壊—光化学チャンバーによる模擬実験の結果—研究ノート
- 炭酸ガスの湖、ニオス湖その他の報告
- 米国における環境研究は曲がり角?海外からのたより
- 高精度安定同位体比質量分析装置機器紹介
- 人事異動
- 編集後記