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さらに開かれた研究所をめざして

後藤 典弘

 国公研の過去15年間を振り返ってみても、ここ5年間位の国際化、情報化の進展はめざましい。端的な例をあげれば、研究所職員の海外派遣数や種々のルートを通じた外国人研究者の受入れ数は激増してきている。また、パソコンやワープロといったマイクロプロセッサーが日常の研究や業務の隅々まで入り込み、知らぬまに手書きの文書は次第に見かけなくなってきている。ファクス、国際電話、パソコン・ネットワーク等の通信も簡単かつ廉価になりつつあり、国際化、情報化にますます拍車がかかってきている。この変化は明らかに幾何級数的であるから、5年後の創立20周年を迎える頃にはいったいどんな状態になっているのであろうか。

 こうした研究所の節目に立っておもうことは、やはり研究所が以前にも増して開かれたものでならなければならない、ということである。もともと科学技術や研究の世界には、その試行錯誤の進歩の歴史的過程からして国境といった概念はないのであるが、最近の交通、コンピュータ、通信等の技術の急速な発展により、人間がお互いに時間や空間を超えて交流することが現実に可能となってきたわけである。このような客観情勢の変化は、われわれの研究所が国内外を問わず他の種々の関連する研究機関等と連携協力していく必要性がますます高くなってきたことを意味する。

 世界に開かれた研究所として、また世界に貢献する研究所として、研究交流や協力を柔軟に進めていくには、まず国公研自身が“内なる国際化や情報化”を早急にはたさなければならない。つまり、研究や仕事のやり方にしろ、研究経過や成果を発表したり情報交換するにしても、それらがどこにでも通用する(communicable)形のものであり、また国公研にしてはじめてできるものでなければならない。

 こうして考えてみると、われわれは今、環境研究の領域で、適切な国際分担をふまえた文字通り地球規模の「ネットワークの時代」に突入しつつある。地球環境を守るためにも、さらに開かれた研究所をめざして、この時機に大いなる飛躍と貢献を心しよう。

(ごとうすけひろ、環境情報部長)