受賞のお知らせ~
中嶋 信美室長、青野 光子副領域長、玉置 雅紀室長、佐治 光シニア研究員が日本雑草学会より2022年度日本雑草学会論文賞を受賞
概要
受賞者氏名: 中嶋 信美室長、青野 光子副領域長、佐治 光シニア研究員(生物多様性領域)、玉置 雅紀室長(福島地域協働研究拠点)
賞の名称: 2022年度日本雑草学会論文賞
受賞機関: 日本雑草学会
受賞年月日: 2021年12月14日
受賞対象: Occurrence of spilled genetically modified oilseed rape growing along a Japanese roadside over 10 years,Weed Biology and Management ,20 (4), 139-146,2020
ひとこと
本論文は日本国内の道路沿いに自生するセイヨウナタネの分布を把握するために、国道51号線のうち佐原から成田までの19kmについて、2005年から2014年までの調査結果をまとめたものです。最初の2年間は2,000個体以上のセイヨウナタネが見つかりましたが、2014年には27個体にまで減少しました。この減少は道路の改修工事によるものであると結論しました。非常に出現頻度の高い場所が3箇所あり、 1つは道路の高低差の頻度が多い場所で、2つ目は道路が狭くなる場所でした。これらの場所では輸送車が加速と減速を繰り返すためセイヨウナタネの種子がこぼれ落ちやすいものと考察しました。3番目は金網に囲まれた場所で、セイヨウナタネの種子がこぼれ落ちると除草管理ができないため生育しやすいと考えられました。遺伝子組換え体の割合は非常に低く、その割合はセイヨウナタネ全個体数の減少に伴ってさらに減少しました。調査区間周辺にはセイヨウナタネと交雑可能な種は見つからないことから、近縁種への影響や浸透交雑などの生物多様性への影響は生じていないと結論づけました。本論文は日本国内の道路沿いに自生しているセイヨウナタネを長期にわたり調査した最初の報告です。