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2020年7月1日

受賞のお知らせ ~
小野寺崇主任研究員が日本水環境学会より論文奨励賞(廣瀬賞)を受賞

概要

受賞者氏名: 小野寺 崇(地域環境研究センター)
賞の名称:  論文奨励賞(廣瀬賞)
授賞機関:  日本水環境学会
受賞年月日: 2020年06月16日
受賞対象:  Evaluation of trophic transfer in the microbial food web during sludge degradation based on 13C and 15N natural abundance,Water Research ,146, 30-36,2018

ひとこと

この度、日本水環境学会より論文奨励賞(廣瀬賞)を頂きました。今回の受賞を大変光栄に思います。本研究では、炭素・窒素安定同位体比を利用して、活性汚泥法における捕食作用の評価を行いました。炭素・窒素安定同位体比は、生態系における食べる−食べられる(被食-捕食)の関係を評価する指標であり、環境研究に広く用いられております。また、活性汚泥法は多種多様な微生物群集を巧みに利用した技術であり、生活排水や工場排水の処理に役立っております。この活性汚泥法では、微生物間の相互作用として、共生のみならず、競合や捕食なども重要な役割があります。顕微鏡で活性汚泥を覗けば、微生物たちの熾烈な生存競争を垣間見ることができます。この微生物の被食作用を紐解くため、安定同位体比の指標を適用することを閃きましたが、微生物は小さすぎて測定不可能でした。そこで、飢餓条件とした活性汚泥において、活性汚泥全体の安定同位体比を連続的に測定することで、微生物群集全体の捕食作用を評価する新たなアプローチを行いました。その結果、汚泥量の減少と微生物群集の変遷に伴い、窒素安定同位体比が増加することが確認されました。
本賞を励みとして、本研究を発展させることで、処理技術の解明や性能向上、そして水環境の評価等への適用を目指して、研究を進めて参りたいと考えております。