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2019年8月1日

ISO(国際標準化機構)/TC297(廃棄物収集・運搬管理技術委員会)における手積みごみ収集車及び防臭・防漏水装置に関する国際標準規格開発の開始について(お知らせ)

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)

令和元年8月1日(木)
国立研究開発法人国立環境研究所
資源循環・廃棄物研究センター
国際廃棄物管理技術研究室
山田正人 室長
循環型社会システム研究室
久保田利恵子 研究員
 

2019年6月より、日本提案の「手積み収集車の技術仕様(NP24149)」および「防臭・防水装置の技術仕様(NP24150)」の国際標準規格開発が開始されました。国立環境研究所は、国際標準規格開発のプロジェクトリーダーとして、今後3年以内の国際標準規格の発行を目指してTC297参加20か国(2019年6月時点)の専門家らを率いて議論を進めていく予定です。ごみ収集車の国際市場開拓を目指して、日本発のごみ収集車技術仕様を国際的な標準規格とするための初の試みです。

1 背景

   ISO(国際標準化機構)は、2015年に廃棄物収集・運搬管理に関する技術委員会を立ち上げ、技術委員会事務局が所在するドイツを中心に、固形廃棄物や排水及びリサイクル品の収集、一時保管及び運搬のための機械、設備及びマネジメントシステムの標準規格化を開始しています。国際標準規格開発の舞台では、様々な分野で標準規格開発が盛んに行われている欧州規格(EN)がそのままISO規格化されることも多く、欧州地域以外で一般的とされる技術や製品仕様が国際標準規格開発の議論から取り残されることが少なくありません。ごみ収集車についても例外ではなく、日本のように狭い道路や公共スペースでごみ収集を行うための手積み式ごみ収集車や、日本のごみ収集車には標準的に装備されている、生ごみから出る汚水を原因とした防臭や液こぼれを防ぐ防漏水装置は、ENによるごみ収集車の規格には記載されていません。
   日本と同じように生ごみが多いアジア諸国では、都市化によってごみの量が年々増加しており、これらの国々で今後見込まれるごみ収集システムの拡充に日本のごみ収集車メーカーが参入する見込みであることを受け、これら手積み式ごみ収集車と防臭・防漏水装置の技術仕様を定める新規の国際標準規格開発を日本が発案し、日本が主導して行うことが採択されました。

2 国際標準規格化されることの効果

   国際標準規格の採用は基本的に任意ですが、世界貿易機関(WTO)ルールにより、各国の制度設定や政府調達の際に、原則として国際標準規格との整合が求められるようになってきました。また、昨今では中国等の新興国が国際標準規格化活動を活発に行っており、自国に有利な標準規格を活用した外国市場の獲得を巡る競争が激化しています。廃棄物収集や運搬の分野においても、各国で収集車の輸出入はこれまでも行われておりますが、今後さらなるごみ増加が見込まれるアジア都市部で、ごみ収集・運搬システムの拡充が急務となっているなか、日本のごみ収集車メーカーにとってもこのような国際市場の獲得が重要課題となっています。こうした市場環境を受けて、我が国独自の技術である手積み式ごみ収集車と防臭・防漏水装置に関する技術仕様の国際標準規格化が実現できれば、これに則ったごみ収集車の技術仕様をセールスポイントとした、日本メーカーの戦略的な市場拡大に貢献できます。

3 今後の活動

   ISOの技術委員会(TC)297では、ドイツ、フランス、シンガポール等、国際標準規格開発に投票権を持つ参加国(20か国)の専門家らと今後3年間かけて、1)手積みごみ収集車の技術仕様、及び2)防臭・防漏水装置の技術仕様を開発していきますが、日本国内に存在する手積み式ごみ収集車に関する法令、自治体らの使用する技術仕様等をベースに議論を行う予定です。なお、日本からは、国立環境研究所の他に、環境省、経済産業省、(一社)日本自動車車体工業会らが参画しています。

【参考リンク】

問い合わせ先

国立研究開発法人国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター
室長 山田正人
E-mail: myamada(末尾に@nies.go.jpをつけてください)
研究員 久保田利恵子
E-mail: kubota.rieko (末尾に@nies.go.jpをつけてください)