2019年6月28日
海外でのサンプリング
コラム3
ラオスでの調査の様子
トンレサップでの調査の様子
海外でのサンプリングは、はじめは不安でしたが、とてもフレンドリーで協力的な研究者と一緒に楽しく調査ができました。私が調査したのは、タイ王国、カンボジア王国、ラオス人民民主共和国の東南アジアの3つの国のダム湖と湖沼です。暑い国々なので、採取したサンプルの保存はとても大変でした。大学に行けば冷蔵庫も冷凍庫もあるのですが、湖の近くでは氷を買うのがやっと、クーラーボックスに入れておいてもすぐに氷が溶けてしまいます。冷蔵の宅配便もないので、試料を運ぶのも一苦労でした。日本ではシアノバクテリアは夏にだけ高濃度になります。一方、熱帯、亜熱帯域ではアオコの原因となるシアノバクテリアは比較的低濃度で、Microcystis aeruginosaによるアオコ現象も見られませんでした。季節変化で言えば、トンレサップでは乾期にアオコ原因シアノバクテリア濃度は高く、雨期にはメコン河から水が逆流してくるので、その濃度は減少します。また、タイの浅いダム湖のフェイロン湖でも雨期と乾期では水深が大きく変わり、やはり乾期にアオコ原因シアノバクテリアの16S リボソームRNA遺伝子の濃度が高くなっています。
図3 メコン河流域ダム湖及びトンレサップのアオコ原因シアノバクテリアの季節変化