Duke大学での研究生活
海外からの便り
国本 学
11月1日より米国ノースカロライナ州ダーラムの Duke University Medical Center で在外研究生活を始めて2ヵ月余りになります。ダーラムは、州都ラーリー、チャペルヒルとともに Research Triangle Park (つくばのような研究学園都市)の頂点を成しており、大都会の喧噪とは程遠い平和な田舎街です。南部に属するため本来は比較的温暖な気候なのですが、12 月中、下旬は全米が今世紀始まって以来という寒波にみまわれ、ダーラムでも一日中氷点下という日を何日か経験しました。
Duke 大学はタバコ富豪の Duke 一族からの多額の寄付を基に1924年に設立された私立大学で、学部学生 5800名、大学院生 3800名を擁し、全米のトップクラスにランクされる総合大学です。スポーツも盛んで、フットボールはオールアメリカンボウルに出場、バスケットボールも全米トップ10にランクされています。キャンパスは、チャペル(写真)を中心とするゴシック調の歴史的建物と、Medical Center を中心とする近代的建物が緑の中に見事に調和しており、大変美しいものです。
Medical Centerは、2つの病院と多数の付属研究施設で構成されており、医療及び研究の水準は全米のトップクラスとされております。私の所属する Bennett研究室は付属研究施設の一つである Howard Hughes Medical Institute(これも富豪 Haward Hughesの寄付によって設立、運営されている)の中にあり、細胞骨格蛋白質の細胞生物学的、分子生物学研究を行っています。セミナー等を通じて感じるのは、もはや基礎医学研究は遺伝子レベルでの解析なしにはありえないのではないかということです。私の研究室もつい1年半前までは個々の蛋白質の精製とその特徴づけという蛋白質化学的手法が中心でしたが、微量成分についてその方法を適用するには限界があるということで、現在は遺伝子レベルでの解析に重点を置いています。現在私は、脳の細胞骨格蛋白質の一つであるアンキリンの遺伝子の解析、並びにその発現と存在状態の解析等を行っています。研究室のメンバーは皆若く極めて優秀で、実によく働き、話し好きです。実験とディスカッションの毎日です。
目次
- 国立環境研究所としての新展開巻頭言
- 野外研究を大切に論評
- 地方公害研究所と国立公害研究所との協力に関する検討会(第9回)の報告所内開催又は当所主催のシンポジウム等の紹介
- 広域都市圏における交通公害防止計画策定のための環境総合評価手法に関する研究特別研究活動の紹介
- 環境水中に見いだされる新たな汚染物質経常研究の紹介
- 第5回全国公害研究所交流シンポジウム所内開催又は当所主催のシンポジウム等の紹介
- 環境汚染のリスクアセスメント − 健康リスク評価の問題点を中心として −環境リスクシリーズ(3)
- 故岩田敏研究員を偲んでその他の報告
- 快適な暮らしの代償としてのリスク環境リスクシリーズ(4)
- 都市大気汚染の解明へのアプローチ研究ノート
- INSTAC計画に参加して海外出張報告等
- 土の緩衝能−土の土としての機能−経常研究の紹介
- 土壌生態系への重金属の影響研究ノート
- 新刊・近刊紹介
- 主要人事異動
- 編集後記