故岩田敏研究員を偲んで
その他の報告
平成元年12月19日午後10時7分、水質土壌環境部の岩田敏研究員は、まだ35才の若さで、惜しまれつつ私たちとは別の世界へ旅立たれてしまいました。午後9時頃まで研究をされ、帰宅途中に不慮の事故に遭遇し、余りにもあっけないことで、今さらながら人生のはかなさを見る思いです。
岩田敏君は、昭和53年埼玉大学理工学部建設工学科、昭和55年同大学修士過程を卒業され、同年4月に水質土壌環境部水質環境計画研究室、昭和58年10月に地盤沈下研究室の研究員になられました。
国公研ニュース(第8巻第5号)、研究報告(R−127)を相次いで書き上げ印刷中でした。雪を溶かすために地下水を利用する際に生じる地盤沈下現象が、従来の地盤沈下現象とは少し異なったメカニズムによって起きることが分り、最も得意とする数値解析手法を用いて、地盤沈下予測手法を開発するための準備を始めていました。また、今までとは異なった方法を用いて、極めて簡便な、しかも安価な地盤沈下観測システムがほぼ完成の域に達し、特許申請書類を書いていました。豊富な知識の持ち主であった岩田君が、今まさにその大器の花を充分に開花しようとした矢先、沢山のことを積み残し、その成果を見届けることなく、突然私たちの前を去って逝ってしまわれました。残念でたまりません。これから、志と遺業を受け継ぎ、地球自身を守るため、研究を継続し発展させることが、私たちの勤めと思います。
(水質土壌環境部地盤沈下研究室長 陶野 郁雄)
目次
- 国立環境研究所としての新展開巻頭言
- 野外研究を大切に論評
- 地方公害研究所と国立公害研究所との協力に関する検討会(第9回)の報告所内開催又は当所主催のシンポジウム等の紹介
- 広域都市圏における交通公害防止計画策定のための環境総合評価手法に関する研究特別研究活動の紹介
- 環境水中に見いだされる新たな汚染物質経常研究の紹介
- 第5回全国公害研究所交流シンポジウム所内開催又は当所主催のシンポジウム等の紹介
- 環境汚染のリスクアセスメント − 健康リスク評価の問題点を中心として −環境リスクシリーズ(3)
- 快適な暮らしの代償としてのリスク環境リスクシリーズ(4)
- 都市大気汚染の解明へのアプローチ研究ノート
- INSTAC計画に参加して海外出張報告等
- 土の緩衝能−土の土としての機能−経常研究の紹介
- Duke大学での研究生活海外からの便り
- 土壌生態系への重金属の影響研究ノート
- 新刊・近刊紹介
- 主要人事異動
- 編集後記