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2019年9月30日

AIMを構成するモデル1:技術選択モデルの概要

コラム3

 私たちの社会では、エネルギーや資源を使って、様々な機器や設備を動かし、生活や生産に必要な「サービス」を得ています。このような機器や設備の技術に着目した分析によるモデルを、技術選択モデル(AIM/Enduseモデル)と呼んでいます(図4)。

 技術選択モデルでは、実際の社会でのエネルギーや資源の使い方とは逆の流れで将来推計を行います。まず、機器や設備を利用して得られる「サービス」を定義し、将来の「サービス需要量」を推計します。例えば、車の場合は移動して運ぶことができる量(旅客輸送量や貨物輸送量)、エアコンやストーブなどの場合は冷房・暖房需要量、発電プラントの場合は発電量などが「サービス需要量」です。そして、将来の社会経済動向(人口、GDPなど)や産業構造などを考慮して、将来の必要なサービス需要量を推計します。次に、将来利用が可能となるものも含めた様々な技術情報(技術価格、効率、投入されるエネルギーの種類など)やエネルギー情報(エネルギー価格、エネルギーの需給に関する制約、温室効果ガス排出原単位など)のデータベースを作成し、その中から将来のサービス需要量を満たすために選択する技術の組み合わせを考えます。このとき、機器や設備の技術効率性の違いによって、同じ量のサービス需要量を得るために必要なエネルギーや資源の消費量が異なります。例えば、同じ人数で同じ距離を車で移動する際、従来型ガソリン車と高効率ハイブリッド車では消費されるエネルギーの種類とその量が違います。

 このように、選択した技術によってエネルギーや資源の消費量が異なるため、温室効果ガスや大気汚染物質などの排出量の推計結果も変わります。そのため、技術の組み合わせをどのように計算するかが重要です。この技術選択モデルでは、「人々は費用に対して合理的に行動する(費用の安い技術を選択する)」と仮定し、将来のサービス需要量を満たし、かつエネルギー供給、技術導入などの制約条件の範囲内で、総費用が最小化するような技術の組み合わせの選択を評価し、温室効果ガスや大気汚染物質などの排出量を推計しています。

推計手法の概要図
図4 技術選択モデルによる推計手法の概要

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