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筑波大学社会工学系助教授 北畠 佳房

 国立公害研究所創設以来の歴史の一端を担った一人として,今回の機構改革に至るまでの各位のご苦労に思いをはせつつ,今後のさらなる発展を心より祈念いたします。私の希望は以前と同じく,新たな組織のもと,社会科学的研究と自然科学的研究の共同研究の輪が広がることであります。

 自然科学者が社会と係わる姿勢は,極言すれば良識ある人々が人類の生存に向かって一つになる(ill-willの人々を切り捨てる)という“緑のユートピアイズム”ないし,社会発展の名のもとで滅びゆく自然を克明に記録するという“滅びの美学”になりやすいと思います。これに対して社会科学者は,社会を支える社会的分業のメリットや,自主的に行動するという人間の主体的・創造的活動を大事にしようとするあまり,人間社会のよって立つ自然的基盤を軽視しがちであります。

 この両者の研究の輪が広がるには,各位が出来るだけ早く専門分野の物の見方に習熟すると共に,学際研究(社会との接点)にあっては超目的ではなく“人間と自然との係わりの歴史の中から学ぶ”姿勢を共有する事が大事なのではと思います。

(きたばたけ よしふさ,元総合解析部第三グループ主任研究官)