新刊紹介
国立環境研究所研究プロジェクト報告第107号「窒素飽和状態にある森林域からの窒素流出負荷量の定量評価および将来予測(特別研究)」
国立環境研究所では、平成22~24年度の3年間をかけた特別研究プロジェクトにおいて、1980年代から窒素飽和状態が持続していると考えられる茨城県筑波山を対象に、3つのサブテーマ1)筑波山における過去と現在の渓流水中硝酸イオン濃度の比較、2)霞ヶ浦への硝酸性窒素流入負荷に対する森林域の寄与の推定、3)筑波山におけるカルシウム欠乏による森林衰退の可能性の検討について、調査研究を実施しました。
本号は、これらの調査研究の具体的な成果を取りまとめた報告書です。本研究のように、森林域における窒素飽和の推移や進行を10年単位での長期比較に基づいて具体的に明らかにした調査事例は国内外において未だほとんどないことから、本報告書は極めて有用な成果を提供すると考えています。また、森林の窒素飽和の現状と影響を評価する基礎データとして、森林管理や水質保全に関する研究および行政に役立つことを期待しています。
国立環境研究所研究業務報告第117号「新長期規制対応ガソリン乗用車の車種別速度別CO2等排出係数」
本報告書は、平成21~22年度にかけて実施した研究課題「低炭素車両の導入によるCO2削減策に関する研究」と、平成24年度に実施した研究課題「最新直噴ガソリン車の排気ガス中粒子状物質の特性解明」において行った試験結果をとりまとめたデータ集です。
多様な走行条件下において、新長期規制対応ガソリン乗用車と燃費性能が向上した直噴ガソリン車について排出ガス試験を行い、燃費やCO2および規制ガスの排出量の、車両の平均速度との関係をとりまとめました。乗用車を起源とする環境負荷発生量の削減を目的とした、車両単体の技術開発の車両毎の相違、交差点改良やバイパスの建設等による速度向上等の走行環境の改善等による効果をより正確に把握することに本データは使用できるものと考えます。
国立環境研究所研究業務報告第118号「2009年国立環境研究所一般公開参加者の電動アシスト自転車に対する認識」
本報告書は、平成20~21年度にかけて実施した研究課題「電動パーソナルモビリティの認知度向上と評価」において、電動アシスト自転車をはじめとする電動車両の認知度調査の集計結果をとりまとめたものです。
調査は、国立環境研究所の2009年4月の一般公開及び同年7月の夏の大公開において、電動アシスト自転車試乗会への参加者に対して実施しました。電動アシスト自転車に対する認識と認知の程度、試乗したことにより変化した意識、電動アシスト自転車の性能に対する評価、電動アシスト自転車への転換の可能性等をアンケートにより回答してもらいました。移動手段の転換期における人々の認知度、試乗体験がもたらす正の効果、移動手段の選択と周辺環境の関係を理解するときに参考になるデータと考えます。
環境儀No.52「アオコの有毒物質を探る~構造解析と分析法の開発~」
国立環境研究所では、アオコが産生する有毒物質についての研究に取り組み、その化学構造の解析を進めるとともに、高精度な分析手法の開発を行ってきました。また、研究所では、開発した分析手法の実用化や標準化も進めています。実用化では、発展途上国などの高性能な分析機器を持っていない地域でも安全な飲料水が確保できるよう、迅速かつ簡便に測定できる分析手法の開発を行いました。標準化では、分析精度を高める上で必要である環境標準物質を開発、一般に頒布しています。
本号では、アオコの有毒物質の一つであるミクロシスチンを中心に、複雑な化学構造を持つアオコの有毒物質の構造解析と新しい分析手法の開発の歩みと意義について解説するとともに、これまでに行った研究の成果を紹介します。
目次
- 炭素循環を観測する
- 民間の旅客機を活用した二酸化炭素濃度の観測
- 宇宙からの温室効果ガスの高精度観測 -『いぶき』(GOSAT)プロジェクトの現状-
- 地球規模炭素循環研究におけるトップダウンアプローチ、 ボトムアップアプローチ
- ハイパースペクトルカメラの利用について
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「独立行政法人国立環境研究所 公開シンポジウム2014」
『低炭素社会に向けて~温室効果ガス削減の取り組みと私たちの未来~』
開催のお知らせ - 平成25年度の地方公共団体環境研究機関等と国立環境研究所との共同研究課題について
- 「第33回地方環境研究所と国立環境研究所との協力に関する検討会」報告
- 「第29回全国環境研究所交流シンポジウム」報告
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「国立環境研究所『災害環境研究』報告交流会」
開催報告 - 表彰
- 人事異動
- 編集後記