2016年9月30日
温室効果ガス観測の現状
研究をめぐって
1957〜58年の国際地球観測年を契機として、ハワイや南極での二酸化炭素観測が始まりました。その後、各国に観測所が設置され、徐々に国際的なネットワークができています。近年では、船舶、航空機、衛星などによる観測も始まっています。
世界では
日本では
日本では、気象庁がWMOの下で観測活動を行っています。岩手県綾里、与那国島、南鳥島での定点観測を行っており、また、海洋での観測も行っています。気象庁と当研究所は精度管理などで連携しながら研究を行っています。
国立環境研究所では
モニタリング事業として、シベリア上空での航空機観測や富士山での定点観測をしています。研究プロジェクトとして中国、マレーシア、インド、インドネシア、バングラデシュ、ハワイなどで定点観測も行っています。また、海洋船舶を用いて、オーストラリア、ニュージーランドへ太平洋を縦断する航路やアメリカとの間で太平洋を横断する航路に加えて、アジアへの航路における観測や、シベリアでのタワーネットワーク、旅客機を用いた観測なども行っています。これらの観測では、現場の大気を直接分析機器に導入するために、高い精度や高い時間分解能で測定できます。
図 18 研究所で行っている主な温室効果ガス観測の場所
図 19 マレーシア気象局、オーストラリアCSIROとの共同観測(ダナンバレーWMO観測所にて)
近年では、衛星(GOSAT)による二酸化炭素濃度の観測が始まっています。現在のGOSATは、上空から赤外線を利用し3日ごとに昼間のみ同一の場所で観測します。そのために、広い範囲の平均的な二酸化炭素の濃度分布はわかりますが、時間変化や高い精度での観測ができません。一方、ステーションによる観測では、広い範囲のデータをまだ取得できません。そこで、両者のよい部分を組み合わせると、複雑な二酸化炭素の動きを捉えることができるシステムになると考えられています。