編集後記
毎年,この時期には花粉症に悩まされる方が多いようだ。‘ようだ’と書いたのは,筆者がこれまでのところ花粉症になっておらず,その辛さが身にしみていないためである。そもそも,花粉症がなぜこれほどまでに蔓延してきたのか?近年,超清潔社会となったため,寄生虫などの外来異物に本来反応するはずであった免疫系がその活躍の場を失い,花粉などの従来「敵」ではなかったものに過敏に反応するようになったと聞いたことがある。真の原因は不明であろうが,その分野の専門家ではない筆者などにはそうかもしれないと思えてしまう。
私たちの身の回りには実に多くの化学品が溢れている。それは,確かに私たちの暮らしを便利にしてきたものだが,悪しき影響は本当にないのだろうか?これまでの研究によれば,化学品から生じる種々のごく低濃度の化学物質と知能や免疫・生殖機能の低下との間には確かな関連性は認められないそうだ。しかし,そのことは化学品による悪影響がまったく存在しないことを意味しない。われわれの現在の知的水準や技術レベルではそれを検出できないだけかもしれない。この疑問に,早く答えなければならない。
(T.H.)
目次
- 危険な気候変動を回避できるか?巻頭言
- 温暖化対策税をめぐる議論−試算結果への批判に答えるシリーズ重点特別研究プロジェクト:「地球温暖化の影響評価と対策効果」から
- 人工衛星データを用いた極成層圏雲の解析シリーズ重点特別研究プロジェクト:「成層圏オゾン層変動のモニタリングと機構解析」から
- ダイオキシンによる生体影響−個体レベルから分子レベルまで−研究ノート
- トレーサーで見る中層大気中の物質輸送環境問題基礎知識
- 「第20回全国環境研究所交流シンポジウム」−生物指標・モニタリング−生物を用いて環境を測る−
- 「第24回地方環境研究所と国立環境研究所との協力に関する検討会」報告
- 「国際ナノテクノロジー総合展・技術会議(nano tech 2005)」出展報告
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独立行政法人国立環境研究所公開シンポジウム2005
『地球とくらしの環境学─あなたが知りたいこと,私たちがお伝えしたいこと─ 』 - 国立環境研究所「夏の大公開」の開催について
- 新刊紹介
- 表彰・人事異動
- 国立環境研究所ニュース24巻1号