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新たな研究所における研究企画の役割

論評

小澤 三宜

 昭和48年3月に出された国立公害研究所設立準備委員会の報告書においては,研究所は学際的な研究機能を発揮しつつ,公害防止のための目的指向型の研究を中心に進めていくべきことが示されており,それを遂行する組織の一環として,全所的な調整機能を持つ研究企画組織が設けられた。

 研究の推進に当たって,各研究者の発想や意欲が基本に置かれなければ,研究機関としての真の活性が損なわれてしまうが,一方において,国立試験研究機関としての社会的な使命を帯びている限り,研究所総体としての方向が明確でなければ存在意義が薄れてしまう。

 特に,多様な専門分野の研究者を擁し,幅広い課題に取り組んで行かなければならない本研究所においては,個々の研究者が持つ独創性の発揮と研究所に対する社会的要請への対応を両立させていくうえで,所長のもとにおける企画調整機能が重視され,特色ある組織として研究企画官が置かれてきたものである。

 新しい国立環境研究所においても,研究企画部門に求められるこのような基本的な機能は不変であるが,業務的には新たな体制に即して対応していかなければならない。即ち,総合研究と基盤研究の連携の円滑化,環境情報センターと研究部門との有機的関係の確保,本年10月から設置される地球環境研究センターの業務と研究・情報業務との協力体制の確立,内外の研究機関との研究協力の推進等が当面の業務の重点になるものと考えられる。

 今後,国立環境研究所が内外における環境研究の中枢的な機関としての役割を果して行くため,多様な業務を円滑かつ積極的に進めて行かなければならないが,そのための研究企画官及び国際研究協力官の責務も重大であると考えている。

(おざわ みつよし,主任研究企画官)