編集後記
今回のニュースでは,環境科学の主要な対象である生態系について,手つかずの「自然」ではなく,人間活動によって変容を受けている「環境」という面から改めて問い直すことを示唆する論評,さらに地球規模環境問題の研究を遂行する国立環境研究所における研究主体である地球環境研究グループをめぐる研究体制上の問題など,関係各位の議論を喚起する話題が取り上げられている。本研究所も設立20年に垂んとし,環境基本法の制定も爼上に上っている折から,環境科学のあり方についての論議も初心に戻って行う必要性があるのではないだろうか。研究分野による研究者の視点の違いを当然のものとして,異分野による研究者の立脚する基盤そのものに係わる議論が乏しくなっているように見える今日,今回のニュースの記事が,改めて環境科学のあり方を考えてみる機会となれば幸いである。(CT)
目次
- 自然生態系保全のために巻頭言
- 地球環境研究の発展に向けて論評
- 熱帯林と砂漠化の研究を開始して論評
- 人工衛星可視域データのグローバルマッピングによる広域海洋環境変動に関する研究プロジェクト研究の紹介
- 土壌・地下水汚染の浄化技術プロジェクト研究の紹介
- 湿地の変化を読む論文紹介
- 自由記述調査法による高層住民の音環境意識 近藤美則・大井 紘・須賀伸介・宮本定明;土木学会論文集, No.458/IV-18,111-120 (1993)論文紹介
- スギ林とスギ花粉ネットワーク
- 研究発表会・特別講演会報告その他の報告
- 桜島の噴煙はどこまで届くのだろう研究ノート
- オゾン層観測衛星センサーILAS開発の現状報告研究ノート
- 新刊・近刊紹介
- 主要人事異動