2020年6月30日
エアロゾルのエイジングを研究する
大気中のエアロゾル粒子はどのように変質していくのか?
環境儀 No.77

空気中に浮遊する微粒子はエアロゾルと呼ばれます。多くの場合、一つ一つは目に見えないほど小さいのですが、地球の気候変動に重大な影響を与えています。また、大気汚染物質として、ヒトの健康に有害な影響を及ぼすことが懸念されています。エアロゾルは空気-エアロゾルの境界で空気中に存在しているオゾンなどの酸化剤と反応を起こして、変化します。このような変化はエアロゾルの「エイジング」と呼ばれています。エイジングによって、エアロゾルを構成する化学成分が変化する結果、エアロゾルの放射強制力(気候に対して与える放射の大きさ)やヒトへの毒性も常に変化しています。
私たちは空気-エアロゾルの境界で起こる化学反応を分子レベルで調べ、エアロゾルのエイジングのメカニズムを明らかにするための研究を行っています。本号では、エアロゾルの変質のメカニズムや、それを調べるための実験法について解説します。また、最近の取り組みとして、エアロゾルが変質する際にできる「老廃物」の正体を明らかにした結果を紹介します。