2020年6月30日
空気-エアロゾル界面で起こる反応
コラム4
C=C結合をもつ不飽和炭化水素を含むエアロゾルがオゾンに曝されると空気-エアロゾル界面にクリーギー中間体が生成します。クリーギー中間体は、その後どうなるのでしょうか?
一部は異性化し、カルボン酸などになりますが、多くのケースでは水、もしくは界面活性な有機酸と反応し、過酸化物になります。例えば、β-カリオフィレン(質量数204)というテルペン、ピノン酸(質量数184)という有機酸、水(質量数18)を含むエアロゾルにオゾン(質量数48)を吹き付けると、α-ヒドロキシヒドロぺルオキシド[α-HH、質量数270(=204+48+18)]とα-アシルオキシヒドロぺルオキシド[質量数436(=204+48+184)]という過酸化物ができます。後者の過酸化物は揮発性が極めて低いため、エアロゾルを安定化する働きをします。実験の際にサンプルに塩化ナトリウムを加えることで、これらの生成物は塩化物イオン(質量数35と37)が付加した「塩化物錯体イオン」(図中の305,307と471,473)として検出されます。

図4 (β-カリオフィレン+ピノン酸+塩化ナトリウム水溶液の液滴)+(オゾンガス)の不均一反応によって気液界面に生成する過酸化物の質量スペクトル
質量分析法では、電荷をもった化合物(イオンと呼びます)をその質量別に分離し、検出することができます。質量分析法で得られる質量スペクトルの横軸は質量(m)と電荷(z)の比である質量電荷比m/zで表されます。
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