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Dinosaurs との遭遇

海外からのたより

杉本 伸夫

 フロリダ州はこのところハイテク企業の誘致や研究の振興に熱心で,私が籍を置くUniversity of South Florida(Tampaにあります)では最近になって,教育だけでなく研究を重視するようになったそうです。私の属するKillinger研究室も,2年前に教授がMITからこちらに移ったばかりで,ようやく研究室ができあがってきたという状況です。現在レーザーレーダーの開発に関する3つのプロジェクトが進行中で,私はそのなかで主に,Hoレーザーという新しい固体レーザーを使ったレーザーレーダーの研究に従事しています。

 研究の面でこちらに来て感じることは,まず,研究者の層の厚さです。特に大気の光学的な計測手法に関する研究分野について言えば,日本との差は非常に大きいように感じます。これはおそらく,NASA等を中心にした研究プロジェクトと大学を含めた研究資金獲得のシステムがうまく機能しているからではないかと思います。また,NASAでは航空機を使った観測などのサポート部門もよく組織されていて,例えば,DC8を使った観測(有名なオゾンホールの観測など)の場合,DC8ミッションスペシャリストという人達がいて,研究者の持ち込む搭載機器とフライトスケジュールのアレンジをします。(ところで,この DC8は11月にGLOBEというプロジェクトの一環として日本上空でレーザーレーダー観測をする計画で,国立公害研をはじめとする日本の研究機関も地上レーザーレーダーによる同時観測で重要な役割を果たすことになっています。)

 米国と日本の違い,特に自然科学に対する姿勢の違いの背景のひとつにはおそらく,ここでは自然をより身近かに,人間に相対するものとして,実感せざるを得ないということがあるように思います。例えば,本物の Dinosaurの骨が米国の各地で出土するのです。私自身の反省から言うと,日本ではほとんど日常に埋没しきっているのではないでしょうか。

(すぎもと のぶお,大気環境部大気物理研究室)

恐竜のスケッチ