夏の大公開 「環境報告書を読む会」 の植栽見学ツアー報告
山根 正慎・竹中 明夫
国立環境研究所では、研究所の活動のなかでどのように環境に配慮しているかを取りまとめた環境報告書を発行しています。毎年の夏の大公開では、「環境報告書を読む会」という企画を行い、その内容をご紹介しています。今年は、報告書全体についての説明のほか、構内の植栽とその管理の状況を説明したあと、外を歩いて植栽を見ながら解説するツアーを行いました。昨年度、構内に多数の植木を植えたこと、さらには植栽の管理方針を新たにまとめたことを紹介する記事を今年の報告書に載せたことをふまえた試みです。
ところで、環境報告書には、環境研自然探索と題する見開き2ページのコラムがあります。今年で報告書の発行も5年目となり、毎回の自然探索を合わせると、植物、池の生物、野鳥、トンボとさまざまな視点から構内の自然を紹介する記事が集まりました。これらをとりまとめ、さらに国立環境研究所ニュースの不定期コラム「木漏れ日便り」もあわせて、「国立環境研究所構内の自然探索」というパンフレットを作成しました。今回の「読む会」では、環境報告書のほかにこのパンフレットも配布しました。
当日は、今年の報告書の概要を環境管理システム専門委員会事務局の山根が説明したあと、自然探索の記事作りに当初から関ってきた生物圏環境研究領域の竹中が植物の写真を写しながら植栽について解説しました。日中の最高気温が35度に達する暑さのなか、そのあと何人の方が暑い戸外に出て歩いていただけるか心配しましたが、ツアー参加のご希望はとの問いかけに10数本余りの手が勢いよく上がりました。
ツアーのスタートは、庭園的に植栽・手入れがされている中庭です。まずはアカマツとクロマツの簡単な見分けかたといった豆知識から話を始めました。そのあと、敷地の境界に密に植えられたシラカシの木立、ユリノキ、ヤマボウシなどの並木、研究所が作られる前からあったと思われる大きなクヌギの林などを見ながら歩きました。アカマツ林のなかでは、枯れ木のあとに補植された植木を見て将来を想像しました。林床に残っているランの仲間を見るために、一部の草刈り予定を大公開のあとまで待ってもらうといった管理部門の協力もあり、見どころの多いツアーとなりました。途中の池では何種類ものトンボが飛んでいて、「ギンヤンマなんて見たのは何十年ぶりかなぁ」という声も聞かれました。
最後まで脱落される方もなく、さまざまな発見の楽しさも味わっていただけた40分ほどのツアーでした。できれば来年も何らかの形で開催したいと考えています。
(環境管理システム専門委員会事務局 山根正慎・生物圏環境研究領域 竹中明夫)
目次
- 国立環境研究所の存在【巻頭言】
- 森林による二酸化炭素吸収量の時間・空間変動の解明【シリーズ重点研究プログラム: 「地球温暖化研究プログラム」 から】
- 世界の水資源のコンピュータシミュレーション【研究ノート】
- 定点カメラによる森林フェノロジー観測【環境問題基礎知識】
- 霞ヶ浦の調査、ろ過と泥切りはタイヘンです【調査研究日誌】
- 国立環境研究所公開シンポジウム2010開催報告 国立環境研究所セミナー委員会国立環境研究所公開シンポジウム2010開催報告
- 国立環境研究所 「夏の大公開」 開催報告 一般公開実行委員会事務局【研究所行事紹介】
- 「平成21年度における独立行政法人国立環境研究所の役職員の報酬・給与等について」 の公表について (お知らせ)
- 新刊紹介
- 表彰
- 人事異動
- 編集後記
- 国立環境研究所ニュース29巻3号