表彰
受賞者氏名:持立 克身
表彰年月日:平成18年3月15日
賞の名称:高木賞(インテリジェント材料・システムシンポジウム最優秀論文発表賞)
受賞対象:第15回インテリジェント材料・システムシンポジウムにおける発表「定質バイオセンサの創製を目指した細胞接着性センサマトリックスの構築」
受賞者からひとこと:
受賞した発表は,九州工業大学・春山哲也教授と淺川雅氏との共同研究です。環境省受託「バイオナノ協調体による有害化学物質の生体影響の高感度・迅速評価技術の開発」における成果の一つです。NO分子を微弱電流に変換する化学センサマトリックスは,九工大が開発しました。これに国環研が開発した擬似マトリックスをコートすることで,ヒト血管内皮細胞に対する細胞接着能が賦与され,センサマトリックス上で長期間安定した細胞培養が可能になりました。血管内皮細胞が放出するNO分子を,直下のセンサマトリックスを介して電気的にモニタ-できる人工組織の構築が評価されました。創薬や毒性研究に有効なツールと考えられます。
受賞者氏名:山形 与志樹
表彰年月日:平成18年6月22日
賞の名称:論文賞(日本シミュレーション学会)
受賞対象:日本シミュレーション学会が賞に価するものと認める論文を書いた者
受賞者からひとこと:
日本シミュレーション学会誌に昨年度に発表いたしました「地球温暖化対策の国際合意形成に関する動的ゲームシミュレーション」に対し論文賞をいただきました。この論文は,人間活動に伴うCO2排出量がある閾値を越えると,グローバルな炭素循環システムが変動するリスクを考慮した国際合意形成について動的なゲーム理論を用いて分析した研究です。地球温暖化対策に関する国際合意については,すでにゲーム理論を用いた数多くの分析がなされていますが,この論文は初めて,炭素循環の確率的変動リスクを考慮した場合について,微分ゲームという動的最適化とゲーム理論を組み合わせた新たな手法を用いてシミュレーション分析を実施したものです。分析の結果,先進国と途上国等,リスク回避度が異なる国家間により形成されるレジームでは,排出総量が大きくなり,リスク回避的な国家が,そうでない国家の分まで肩代わりして排出削減を行うことが示されました。
目次
- 環境報告書の監査巻頭言
- 温室効果ガスの長期的濃度変動メカニズムとその地域特性【シリーズ重点研究プログラム:「地球温暖化研究プログラム」から】
- ヒト脳をモニタリングする 〜MRIを用いてグルタミン酸とGABAを測る〜【研究ノート】
- 大気中の酸素濃度の変動から二酸化炭素の行方を探る【環境問題基礎知識】
- アジア水環境研究の新しい展開へ向けて −長江水利委員会との新たな共同研究の開始−【トピック】
- 「平成17年度における独立行政法人国立環境研究所の役職員の報酬・給与等について」の公表について(お知らせ)総務部
- 公開シンポジウム2006報告【研究所行事紹介】
- 新刊紹介
- 人事異動
- 編集後記
- 国立環境研究所ニュース25巻3号