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気候変動枠組条約第11回締約国会議(COP11)及び京都議定書第1回締約国会合(COP/MOP1)への参画(11/28−12/9 於:モントリオール)

広兼 克憲

 国立環境研究所は2005年11月28日から12月9日まで,カナダ・モントリオールで開催された気候変動枠組条約第11回締約国会議(COP11)及び京都議定書第1回締約国会合(COP/MOP1)に登録NGO(非政府機関)として参画した。読者の中には「登録NGOとして参加」という意味がよくわからない方も多いと思われるので,少しそのことについて解説を加えたい。この長い名前の国際会議(以降,この稿では「COP11/MOP1」という)は,地球温暖化を防止するための国際協定として1992年の地球サミットで採択された「国際連合気候変動枠組条約」の締約国が参加する会合である。したがって,公式参加者は締約国政府代表であり,会議は条約の目的を達成するために議論を行う場となる。2005年2月にはこの条約の具体的目標を定めた京都議定書が発効したため,今回から京都議定書締約国第1回会合(COP/MOP1)が同時に開催されている。ちなみに京都議定書に批准していない米国の政府代表はCOP/MOP1の正式な参加者ではないことになる。

 さて,最近の大きな国連の会議では,NGOでもあらかじめ事務局に認められた機関には会議のオブザーバー参加資格が与えられている。1992年の地球サミットや2002年のヨハネスブルグサミットで多くのNGOが集まってそれぞれアピールを行ったことはご承知のとおりであるが,彼らの多くは本会議場にもオブザーバーとして参加・入場が認められていたわけである。

 COP11/MOP1においても登録NGOのオブザーバー参加が認められており,国立環境研究所は2004年10月に条約事務局の厳しい審査を経て,登録NGOとしての資格を得た。COP11/MOP1には世界各国政府代表,IGO(政府間機関),NGOが約1万人参加したと言われている。気候変動問題に関心を有する人間がこれほど多く集まる会合は他になく,このような場で研究成果をアピールし,情報交換・人的交流を行うことは大変有意義なことである。当研究所は今回,常設展示ブース出展のほか,サイドイベント1件を主催し1件を共催した。これは,我が国のNGOとして,最大級の参画である。

 メイン会場内には世界各国80以上の著名NGOがブースを出展した。ブースの出展は登録NGOの大きな特権であり,グリーンピース,世界資源研究所(WRI)などがそれぞれ工夫を凝らしたアピールを行った。当研究所は,会場入り口近くの好位置にブースを設営できたため,多くの訪問者を得ることができた。前回,ブエノスアイレスのCOP10においては税関トラブルでブース配布物が保留されるというアクシデントがあったが,今回は,出席者が手荷物重量ぎりぎりまで配布物を持参するなどのトラブル回避策をとったため,スムーズに事が運んだ。

 各種NIES研究成果報告書,パンフレット,年報など数千ページに及ぶ資料をPDFとして収録したCD1,000枚,パンフレット800部は在庫がすべてなくなり,サイドイベント広報用に作成した3,000部のプログラムもほぼ配りきった。さらにCGER工房の協力により製作した新作NIESオリジナルエコバックは昨年の2倍の400個を用意したが,これが初日から会場内の人気グッズになり,飛ぶように持ち去られ,国立環境研究所の文字があるバックを持つ人々が随所に見られるなど大きな広報効果を生んだ。”Bag Please”とか”Can I get your bag?”という問い合わせ対応に窮する場面もあった。

 地球シミュレータを使用した将来気候変動予測,JALとの共同研究によって新たに開始したモニタリングなどは,日本から持ち込んだ2台のプロジェクタとパソコンをフル稼働してビジュアルに研究成果を投影し,多くの人々の関心を得た。

 他方,クリーン開発メカニズム(CDM)や共同実施(JI)に関心の高い訪問者も多く,NIESがこの問題について十分な情報を持ち合わせていないことが悔やまれた。環境情報の提供を業務とする研究所として反省すべき点のひとつであろう。

 西岡秀三理事,藤野純一主任研究員,甲斐沼美紀子サブリーダーが中心になり,NIES史上初の主催サイドイベントである,Global Challenges Toward Low-Carbon Economy -Focus on Country-Specific Scenario Analysis-(脱温暖化シナリオに関するパネルディスカッション)は大成功であった。米国や中国を含むメジャー8ヵ国の研究者が一堂に会し,2050年の脱温暖化シナリオについてCOPの場で議論できたということは,そして,それをコーディネートしたのが当研究所であるということは,モントリオールの快挙であると言っても良い。土曜日の夕方開催という不利な条件にもかかわらず多くの参加者を得たことも良かったが,内容的に非常に高い評価を受けた点が素晴らしかった。日本代表の藤野主任研究員は大舞台にもかかわらずユーモアも交えたプレゼンテーションで会場内の笑いをとるなど,6月の公開シンポジウムに続き,世界にもインパクトを与えた。イベントの冒頭,大木浩元環境大臣・COP3議長をお迎えして日本の取組の紹介をいただいたこともタイムリーであった。会合の詳細はhttp://2050.nies.go.jp/を是非参照されたい。さらに亀山康子主任研究員がアジア太平洋気候変動研究ネットワーク(APN)とペランギ(PELANGI:インドネシアの政策提言型環境NGO)と共同で開催したサイドイベントも質問が多発し時間を超過するなど盛況であった。なお,サイドイベントの開催にあたり,地球環境研究センターのホワイト雅子さん,梅宮知佐さんの献身的かつ全面的な協力により極めてスムーズな運営ができたことを報告したい。

 最後に,当研究所職員3名が環境省併任として政府代表団に加わり,厳しい交渉に臨んだことも報告させて頂かなければならない。温暖化交渉はこれからも続き,NIESへの期待も大きくなるばかりである。次回以降は新たなNIESとして参画することになるが,今回の経験を生かし,さらなるバージョンアップを図りたい。

大木浩元環境大臣(NIESサイドイベント)
西岡秀三理事(NIESサイドイベント)
本会議の様子
藤野純一主任研究員
亀山康子主任研究員(NIES PELANGI, APN, サイドイベント)
国立環境研究所ブース

 (ひろかね かつのり,国際室国際研究協力官)

執筆者プロフィール:

毎日自転車通勤をしていますが,この冬の寒さはこたえます。先日,出勤時に研究所正門の前で派手にこけ,頭をぶつけてしまう醜態をさらしてしまったので,今では極彩色のヘルメットをかぶっています。研究所の活動を誰にも分かりやすく伝えたいと思いつつ,なかなかうまくいきません。