ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

最近の日本人のビタミンD欠乏

コラム2

 図1に示した通り、血中のビタミン25(OH)D濃度は、皮膚で生成されたビタミンDと、食物から摂取されたビタミンDの合計量を反映して変動します。一方、1,25(OH)2Dはカルシウム代謝を調節するホルモンで、通常その血中濃度はほぼ一定に調節されていることが知られています。よって、血中25(OH)D濃度を測ることで、ビタミンDの充足状況を知ることができます。現在は、血中25(OH)D濃度が30 ng/mL以上を「ビタミン充足」、30 ng/mL未満を「ビタミンD非充足」状態と判定し、そのうち20 ng/mL以上30 ng/mL未満を「ビタミンD不足」、20 ng/mL未満を「ビタミンD欠乏」と判断する基準が採用されています。 

 図2に、2003~2004年にかけて東京の12~18歳の中高生1360人を対象にした調査の結果を示します。この調査では、ビタミンD欠乏は男子で30.2%、女子で47.7%、ビタミンD非充足は男子で79.9%、女子で89.8%にみられ、特に女子では中学1年生から高校3年生へと成長するにつれ、ビタミンDの栄養状態は顕著に低下することが示されました。この研究では、思春期の踵骨(かかとの骨)骨量に対するビタミンD栄養状態とカルシウム摂取量の相互効果が、特に女子に現れやすいことも確認されました。

日本の中高生のビタミンD栄養状態(Tsugawa et al. (2016), Fig.1を改変)の図
図2 日本の中高生のビタミンD栄養状態(Tsugawa et al. (2016), Fig.1を改変)