- 研究課題コード
- 2125AX152
- 開始/終了年度
- 2021~2025年
- キーワード(日本語)
- 温室効果ガス,大気微量成分,温暖化影響,モニタリング
- キーワード(英語)
- greenhouse gas,atmospheric trace gas,impact of global warming,monitoring
研究概要
地球環境の変動に寄与する大気中や海洋中の物質について、中長期的に継続した観測を行うことによってその時間変動や空間分布を明らかにし、変動要因を解明するための基礎データを取得する。また、地球温暖化のような地球環境の変動の結果として生じる影響を中長期的な観測から検知・監視する。観測は最先端の技術を導入して、国際基準に準拠またはトレーサブルな標準のもとで実施し、日本のみならず国際的に有用なデータを取得するとともに、広くデータ利用を推進する。
研究の性格
- 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
大気・海洋に係る地球環境の変動を長期的な視点で監視・観測するために、以下の6事業を実施し、アジア太平洋域を中心とした包括的な温室効果ガスの分布や 変動、海洋からのCO2フラックスデータを取得すると同時に、海洋の温暖化影響、遠隔計測による対流圏・成層圏の大気微量成分を監視する。
(1)温室効果ガス等の地上モニタリング
(2)定期船舶を利用した太平洋での温室効果ガス等のモニタリング
(3)シベリアにおける温室効果ガス等の航空機モニタリング
(4)温室効果ガス等の標準物質の整備
(5)温暖化影響評価のための海洋モニタリング
(6)フーリエ変換赤外分光計を用いた大気微量成分モニタリング
今年度の研究概要
1.温室効果ガス等の地上モニタリングでは、波照間ステーションと落石岬ステーションならびに富士山頂の観測所を活用して長期的かつ時間分解能の高い観測を実施する。さらに東京圏における排出推定のために東京スカイツリーを使った観測も行う。また、固定観測プラットフォームである利点を活かして多成分同時観測、同時解析、先端観測技術の開発などの拠点として観測を発展させる。
2.定期船舶を利用した太平洋での温室効果ガス等のモニタリングでは、北太平洋航路と日豪航路において表層海洋中のCO2分圧観測を行い、大気とのCO2分圧差の分布と長期変動を明らかにする。これらの航路では同時に大気観測も実施し、温室効果ガスおよび関連ガスの緯度分布とその時間変動を明らかにする。さらにアジア航路の船舶を利用して経済発展が著しいアジア諸国から発生する微量成分の発生分布と経年的な変化を探る。
3.シベリアにおける温室効果ガス等の航空機モニタリングでは、東シベリアのヤクーツク上空において、残されたフラスコを利用して大気のサンプリングを行う。また、これまでに得られたデータの整理ならびに解析を行う。
4.温室効果ガス等の標準物質の整備事業では、標準ガスの維持を行うと共に定期的に国内外の機関との相互比較を実施する。また、作業標準ガスの検定も行う。オゾンについては測定基準器SRPを維持し、日本全国のオゾン計の校正体制を整え、その中心としての役割を担う。
5.気候変動影響(海洋)モニタリングでは選定した8海域において造礁サンゴ等の生物分布のモニタリングを継続する。
6.フーリエ変換赤外分光計を用いた大気微量成分モニタリングではつくばと陸別に設置した高分解能フーリエ変換赤外分光計を利用して、両地点の上空における温室効果ガス等のカラム量および成層圏における微量気体成分の長期変動を観測する。
外部との連携
北海道大学、東北大学、お茶の水女子大学、東京大学、東京海洋大学、東京工業大学、名古屋大学、高知大学、九州大学、長崎大学、琉球大学、気象庁気象研究所、産業総合技術研究所、北海道陸別町、米国NOAA、豪州CSIRO、カナダIOS、ニュージーランドNIWA、ロシア大気光学研究所、ロシア微生物研究所、ロシア凍土地域生物問題研究所、黒潮生物研究所、株式会社串本海中公園センター
備考
- 関連する研究課題
- : 地球システム分野(ウ知的研究基盤整備)