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摂南大学工学部教授 合田 健

 国公研が国環研に変わると同時に,皆様に試練の時がやって来たように思う。

1) 温暖化現象,オゾン層対策,海流-気候関係の解明など,いずれもやりがいのある仕事だろうが,1人2人の力では中々成果につながり難かろう。新しい成果を早く生み出そうと焦る人があるだろうが,焦りはおおむねよい結果につながらない。
2) 現構成員の組換えでスタートする以上,やれることには限界があろうから,多分どこかと組まねばならないだろう。そうなると統括研究官の人には別個の能力が要求されよう。
3) それでも,上記の分野で地道に基礎研究を積めば,間違いなく研究成果は生まれるだろう。
4) ところが,森林減少,砂漠化や野生生物保全などのテーマでは,傾向とか徴候とかをつかむことは出来ても,それが即「論文」にはつながり難いし,多分ケーススタディやフィールド調査に取り組まざるを得ないであろう。

 さて,新組織図の地球環境グループへ誰が行くのか,新人の加わる余地があるのか,はっきりしないから,今,具体的な期待とか論評をするのは難しい。従来の研究者が中心でやるのだとすれば,これは正に試練であろう。これまでの,“好きなことのやれた国公研”から“地球環境問題と取り組まざるを得ない国環研”に変わるわけである。

 社会環境システム部以下の6研究部に在籍するであろう人達も大変で,多分これからの研究環境は一段と厳しいものになろうから,どう言って勇気づけてあげるのがよいか,正直いって迷う。

(ごうだ たけし,元水質土壌環境部長)