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2011年6月30日

東日本大震災と国立環境研究所

【巻頭言】

理事 鏑木 儀郎

 「平成23年3月11日(金)」が激甚な東日本大震災の日として歴史に刻まれました。

 想像もできない恐怖の中で落命された方々にお悔やみを申し上げます。ご家族、ご親族、ご友人などのかけがえのない大事な人を失われた方々に深い哀悼の気持ちを捧げます。全財産を、生活や仕事の根拠となる家財を、慣れ親しんできた風景を、そして美しい環境を失われた方々に心からのお見舞いを申し上げたく存じます。

 国立環境研究所は茨城県つくば市にあり、建物、設備、試験・研究のための装置などが被災し、電気も水もガスもすべて止まってしまいました。研究所の敷地内に広く蒸気や冷温水を供給しているエネルギーセンターも被災して機能が止まってしまいました。

 研究所はひとつの建物ではなくて大小数十の建物から形成されています。それらの中には研究所創設以来35年以上使用している建物もあります。でもこれまで長年かけて営々と耐震化工事を進めてきたおかげで、一部の建物がかなり大きく損傷したものの全壊、倒壊した建物はありませんでした。そのおかげで、発災時にかなり多くの人が建物内にいたにもかかわらず、幸い人的被害はありませんでした。

 とはいえエネルギーセンターとそこからの冷水、蒸気の配給設備は古いままですから、震災直後には蒸気が勢いよく噴き出している場所があったり、建物間を繋ぐ配管を収納した共同溝の中が水浸しになっていたりというかなりの惨状でした。そのためライフラインのメインパイプも相当やられて復旧には数十億円の金額が必要ではないかと悲観しましたが、その後の復旧調査でメインの被災箇所は数カ所にとどまることが判明しました。

 ところで国立環境研究所では大震災後すぐに理事長を本部長とする対策本部を設置して、被災状況の調査、所内外の情報の収集・整理・公表、職員への指示を集中的に行える体制を整えました。緊急事態では統制のとれた行動をすることが必要不可欠であり、かつそれが効果的な施策を効率的に講ずることを可能にします。大きな余震が想定され、電気も水道もなく、被災状況もよくわからないという不安な霧の中でしたが、関係職員の冷静さと熱心な努力によって応急的な復旧作業はかなり早く進みました。

 本格的な建物等の復旧工事、設備装置の復旧にはまだ時間と費用がかかりそうで、研究所のすべての分野で震災前の研究能力をフルに発揮できるようになった訳ではありませんが、既に研究所は激甚な被災地の復旧・復興に対する貢献モードに入っています。具体的には3月29日に理事長を本部長とする東日本大震災復旧・復興貢献本部を設置して、災害廃棄物対策などへの貢献、学会や激甚な被災地の研究者等との共働、適時適切な情報発信などに取り組んでいます。

 特に災害廃棄物問題は、現場で生まれる様々な科学的技術的な疑問にいかに素早く的確な答えを出せるかが勝負です。その面で環境省や学会と連携した貢献はかなり大きな成果を生んできていると思います。これからも資源循環・廃棄物研究センターを中心として国立環境研究所の総合力で貢献しなければならない大きな課題です。

 もちろん災害廃棄物問題にとどまらず復興再生街づくりなど、所員が貢献できる課題は沢山ありますし、所員の意気も高く維持されています。

 ちょうど本年度は国立環境研究所の第3期中期計画の初年度であり、大幅な組織の見直しと研究プログラムの見直し等を行い新たなスタートを切ったところです。第3期中期計画期間に移行するにあたり、前期には4センター、6領域、1ラボラトリーであった研究実施部門の体制を8研究センターに再編しました。同時に、研究調整を行う審議役を設置しましたので、8センターの研究活動についての調整、さらには所外部の研究活動との間での研究調整を図りつつ、大震災からの復旧・復興への貢献に、研究所の総合力を最大限に活かして参ります。

(かぶらぎ よしろう、企画・総務担当理事)

執筆者プロフィール:

理事 鏑木  儀郎

大震災の日は国環研の新中期計画を環境省独法評価委員会国環研部会で概ねご了解頂けた日でした。研究所の復旧も復旧・復興への貢献もしつつ、新計画のもとでこれから5年間、さらに環境研究等を発展させていくため、頑張りたいと思います。

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