表彰
受賞者氏名:内山政弘
受賞年月日:2009年6月10日
賞の名称:第18回環境化学技術賞 (日本環境化学会)
受賞対象:β-ジケトン検知素子を用いた室内及び家具内のホルムアルデヒド測定 (J.Environ.Chem., 18(4), 501-509, 2008)
受賞者からひとこと:
「β-ジケトン検知素子を用いた室内及び家具内のホルムアルデヒドの測定」に対し,日本環境化学会より環境化学技術賞を受賞しました。この賞は雑誌「環境化学」に発表された技術開発に関連した論文の中から,環境化学関連技術の発展に大きな寄与をすると判断された論文の著者に授与されるものです。これまで,シックハウス症候群の主な原因物質であるホルムアルデヒド検知素子を,NTTおよび東洋大学と共同開発して来ました。測定で想定される妨害ガスの影響をこの素子が受けないことと,実際の室内や家具内のホルムアルデヒドが数時間の暴露で測定できること報告しました。この素子の測定原理はナノ孔ガラス内での発色反応を用いる固相比色法です。開発した素子は標準法(DNPH)との一致も良く,また選択性にも優れています。素子は小さく(1×1cm,今回は2.5×4cmのプラスチツクプレートに装着して使用),配置に制約が無いと言う特徴を持っています。今回の結果も踏まえ,現在,商品化に向けた評価および検討が進められています。
受賞者氏名:松橋啓介,近藤美則,小林伸治,森口祐一
受賞年月日:2009年7月30日
賞の名称:平成21年度日本エネルギー学会論文賞 (社団法人日本エネルギー学会)
受賞対象:乗用車の10・15モード燃費の向上による実燃費の推移に関する統計解析 (J.Jpn.Inst.Energy, 87(11), 930-937, 2008)
受賞者からひとこと:
工藤祐揮(産総研),八木田浩史(日本工業大学)両氏との共同で,平成21年度日本エネルギー学会論文賞を受賞しました。受賞対象となった論文は,携帯電話のインターネットサービスにより全国規模で収集された自動車ユーザの自己申告に基づく給油ログと乗用車カタログ(諸性能)を用いて,乗用車の実燃費データベースを構築し,車両の10・15モード燃費および車両重量から実燃費を求める回帰式を提示したものです。この回帰式を用いた結果は既存の統計から得られるガソリン乗用車の実燃料消費量と整合する上に,保有ベースの実燃費も2002年度から2004年度にかけて統計的に有意に改善していることを明らかにしました。様々な要因によって変化する乗用車の実燃費を高い統計的信頼性を持って解析したこの研究は,自動車の諸性能の変更を促す政策が実燃費に与える影響を定量的に評価するために役立つと考えられます。なお,本研究は地球推進費S-3-5(2004~2008年度)による支援を受けました。筆頭著者の工藤祐揮氏は2004年9月まで国環研の流動研究員でした。共同での研究を継続できたこと,受賞に結びついたことを大変うれしく思います。
目次
- 国民から信頼される研究所を目指して【巻頭言】
- 環境化学物質による発達期精神神経疾患とDOHaD仮説−中核研究プロジェクト2 「感受性要因に注目した化学物質の健康影響評価」から−【シリーズ重点研究プログラム: 「環境リスク研究プログラム」 から】
- 交通の温暖化対策としてのエコドライブ【研究ノート】
- 神経幹細胞を用いた化学物質の有害性評価【環境問題基礎知識】
- 国立環境研究所における衛星観測プロジェクト−温室効果ガス観測技術衛星 「いぶき」 (GOSAT)の現状と今後−【研究施設業務等の紹介】
- 「平成20年度における独立行政法人国立環境研究所の役職員の報酬・給与等について」の公表について(お知らせ)
- 国立環境研究所公開シンポジウム2009開催報告【研究所行事紹介】
- 「夏の大公開」 開催報告【研究所行事紹介】
- 新刊紹介
- 人事異動
- 編集後記
- 国立環境研究所ニュース28巻3号