国立環境研究所公開シンポジウム2009開催報告
【研究所行事紹介】
国立環境研究所セミナー委員会
毎年6月に開催している国立環境研究所公開シンポジウムは今年で12回目を迎えました。最近のシンポジウムでは地球温暖化や循環型社会に関係した講演が続き,身近な汚染物質の話から遠ざかっていた感がありました。とはいえ,当然ながらそうした問題がなくなったわけではありません。そこで今回は「今そこにあるリスク-環境リスクの真実を語ろう-」と題して,化学物質のリスクに関係した講演を聞いていただくことにしました。研究所内の関連部門である環境リスク研究センター,環境健康研究領域,化学環境研究領域から5つの講演を用意しました。6月6日(土)は東京メルパルク,また1週間後の13日には京都のシルクホールを会場にして開催されました。新型インフルエンザの影響も懸念されましたので,はたしてどれだけの方に足を運んでいただけるか関係者一同気をもみながら宣伝に努めましたが,東京は約500名,京都は約200名の方々においでいただき安堵しました。ご来場の皆様に心より御礼申し上げます。
例年通り,講演開始前の1時間をポスターセッションの時間としました。これは講演とは別にシンポジウムのテーマに関連する研究成果などを17枚のパネルで展示して,その内容を研究者が説明するものです。また,講演終了後にもポスターセッションの時間を設けましたが,この時は5人の講演者も講演内容の一部を掲示したパネルの前に立ち,ご来場の皆様からの質問に直接お答えしました。いずれのパネルの前でも熱心なやりとりが交わされていました。
講演の部では,5人の演者がさまざまな観点から当研究所での化学物質の環境リスクに関する研究成果を紹介しました。演題は以下のとおりです。
「環境リスク研究へのいざない」 (白石寛明)
「メダカ,ミジンコのオス・メスが化学物質で変わる!?-見えにくい生態リスク-」
(鑪迫典久)
「環境汚染物質の測り方-ハイテクとローテクからのアプローチ-」 (橋本俊次)
「私たちの健康に害があるほどに空気は汚染されているか?」 (新田裕史)
「身の回りの環境汚染はアレルギー疾患を悪化させる?」 (高野裕久)
今回は,5つの講演を終えたあとに,理事が全体像を整理して締めくくるという新しい試みを行いました。担当理事は準備に苦労していましたが,ご来場の皆様には幸いにしてご好評をいただいたようです。なお,講演の様子はDVDに収め,後日配布の予定です。また研究所のホームページにも講演の映像を掲載します。ぜひご利用ください。
東京会場入り口にて。
目次
- 国民から信頼される研究所を目指して【巻頭言】
- 環境化学物質による発達期精神神経疾患とDOHaD仮説−中核研究プロジェクト2 「感受性要因に注目した化学物質の健康影響評価」から−【シリーズ重点研究プログラム: 「環境リスク研究プログラム」 から】
- 交通の温暖化対策としてのエコドライブ【研究ノート】
- 神経幹細胞を用いた化学物質の有害性評価【環境問題基礎知識】
- 国立環境研究所における衛星観測プロジェクト−温室効果ガス観測技術衛星 「いぶき」 (GOSAT)の現状と今後−【研究施設業務等の紹介】
- 「平成20年度における独立行政法人国立環境研究所の役職員の報酬・給与等について」の公表について(お知らせ)
- 「夏の大公開」 開催報告【研究所行事紹介】
- 新刊紹介
- 表彰
- 人事異動
- 編集後記
- 国立環境研究所ニュース28巻3号