表彰
受賞者氏名:西川 潮
受賞年月日:2009年3月20日
賞の名称:日本生態学会宮地賞(日本生態学会)
受賞対象:生態学の発展への貢献
受賞者からひとこと:
日本生態学会より,生態学の優れた業績を挙げた若手会員に対して授けられる,日本生態学会宮地賞を受賞しました。受賞対象となった研究業績は,河川生態系における在来キーストーン種を明らかにした研究で,在来キーストーン種を判別した事例は極めて稀です。一般に,生態系から消失(加入)することにより,生態系の構造や機能が大きく変化する生物はキーストーン種と呼ばれ,生態系の重要な指標種となります。従来,潮間帯のヒトデ捕食者など,生態系への影響が強い種がキーストーン種となることが知られてきました。私は,野外を主体とした操作実験を通じて,ザリガニ類が,雑食動物ならびに環境改変者として河川生態系で主要かつ固有な役割を果たすことを明らかにし,キーストーン種を判別する上で,生態的役割の固有性も重要となることを示しました。
近年は,淡水生態系と人間社会の相互作用を軸として,淡水棲外来種の侵入段階ごとのリスク評価と管理手法の開発,そして,人間の意識や意思決定が生態系管理にもたらす影響,などの研究テーマに取り組んでいます。今後も,自然科学と社会科学の研究アプローチを併用しながら,学際的な保全生態学的研究を展開していくつもりです。
目次
- 環境の研究 —自然・社会との対話—【巻頭言】
- データ空白域での温室効果ガス観測 −中核プロジェクト1 「温室効果ガスの長期的変動のメカニズムとその地域特性の解明」から−【シリーズ重点研究プログラム: 「地球温暖化研究プログラム」 から】
- 陽子移動反応−質量分析計を用いた大気中ホルムアルデヒド濃度の決定【研究ノート】
- 地球温暖化に伴う森林土壌有機炭素の変動を探る【研究ノート】
- 東京湾における調査研究 : 着想,準備から実施に至るまで【調査研究日誌】
- 「国立環境研究所創立35周年記念式典」が開催されました【研究所行事紹介】
- 「第24回全国環境研究所交流シンポジウム」報告【研究所行事紹介】
- 「第28回地方環境研究所と国立環境研究所との協力に関する検討会」報告【研究所行事紹介】
- 平成21年度の地方公共団体環境研究機関等と国立環境研究所との共同研究課題について
- 独立行政法人国立環境研究所公開シンポジウム2009 『今そこにあるリスク − 環境リスクの真実を語ろう −』
- 新刊紹介
- 人事異動
- 編集後記
- 国立環境研究所ニュース28巻1号