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内藤 正明

 地域環境研究グループ主任研究官の高橋弘氏は,悪性腫瘍のため4月13日午後7時32分,筑波大学付属病院において永眠された。享年55才11カ月であった。

 高橋氏は,昭和35年に信州大学農学部を卒業し,(財)実験動物中央研究所に入所,「マウスに及ぼす騒音の影響に関する実験生理学的研究」で昭和50年2月3日に学位(農学博士,東京大学第3493号)を取得された。昭和49年5月1日に国立公害研究所に入所,同52年4月1日に環境生理部・環境生理研究室長,同53年4月1日技術部・主任研究官に移行し,同57年4月1日技術部動物施設管理室の新設と同時に管理室長に就任,動物実験施設の管理運営の重責を果たされた。平成2年7月1日の組織改革に伴い,国立環境研究所地域環境研究グループ実験動物研究官に,そして同4年11月には同主任研究官に就任された。

 高橋氏の入所時は研究所の創成期に当たり,所内至るところが建設現場であった。氏は実験動物学の専門的立場から動物実験棟の設計・施工・管理・運営に積極的に関与し,昭和51年9月の動物第I棟,52年2月中動物棟,55年5月第II棟の完成にかかわる実質的な責任者として活躍された。これらの動物実験施設は全国有数の規模を誇り,また管理運営方式の優秀さが認められ,同施設で実施された特別研究「大気汚染物質の単一および複合汚染の生体に対する影響に関する実験的研究」は国内外で高い評価を得た。

 氏の持論は,“実験動物学的機能連関”であり建物・設備は勿論のこと,人的な側面にも効率的な管理運営を図り,動物実験施設のグレードアップに多大の貢献をされた。また,対外的にも日本実験動物学会の創設時より24年にわたって教育部会委員および評議委員として重責を果たされ,さらに日本実験動物技術者協会では実験動物技術者の養成に,また(社)日本実験動物協会では一級技術師の資格認定に当たられた。このように幅広い活躍の途中で,さらに今後の仕事にもまだまだ多くの夢を持たれていたことを知る我々にとって,突然のご逝去は残念の極みであります。以上のような多大な業績に対して,平成6年6月2日付で勳五等瑞宝章が授与された。

 ここに,氏のご冥福を心からお祈りし,慰霊いたします。

(地域環境研究グループ統括研究官 内藤 正明)

故高橋弘氏の写真