研究発表会・特別講演会報告
その他の報告
鷲田 伸明
環境庁20周年となった今年は、6月が環境月間となり、当研究所では6月5日に国立環境研究所研究発表会、6日に特別講演会をセミナー小委員会が主催して所内の大山ホールで行った。研究発表会では、地球環境研究グループから4件、地域環境研究グループから6件、基盤研究部門から3件の計13件の研究発表が各々講演時間20分、質疑5分で行われた。本発表会は従来、研究所の特別研究の所外向け発表が、その主な目的とされてきたが、今年は組織見直し後の企てとして、基盤、地球、地域各研究グループからほぼ等しく発表をお願いした。講演者はみな大変熱演して下さり、5日の参加者は255人を数えた。この研究発表会のあり方としては、研究成果の専門的な発表会と位置づけるのか、研究発表を通じての一般向け啓蒙的なパブリックサービスにより徹するべきかを今後議論すべきであろう。
6月6日の一般公開日の特別講演会は、作家 C.W.ニコル氏を招待し、10時30分から大山ホールで、In Our Nature(我々の自然)という演題で約1時間の熱の入った自然の保護を呼びかける講演をいただいた。聴衆人数は270人を超え、大山ホールが満員になり、ロビーのモニターテレビの前にも数10人の人垣ができる盛況で、ニコル氏の人気の程が理解された。
最後に2日間の催しの講演者、受付・会場を担当された総務部、環境情報センター及びセミナー委員の皆様のご協力に感謝いたします。
研究発表会・特別講演会プログラム
研究発表会 5日(水)
湖の底にひそむ合成洗剤−分解されなかったLASはどこへ行くのか−
天野 耕二(社会環境システム部)
海の中の有機スズ
相馬 悠子(地域環境研究グループ)
富栄養化による内湾生態系への影響評価に関する研究
竹下 俊二(地域環境研究グループ)
水辺環境づくりための浄化槽
稲森 悠平(地域環境研究グループ)
佐賀白石平野の地盤沈下性状と新観測システム
陶野 郁雄(水土壌圏環境部)
有害廃棄物によるリスクとその管理
中杉 修身(地域環境研究グループ)
ディーゼル排気粒子による喘息誘発物質遊離の新しいメカニズムに関する一考察
嵯峨井 勝(地域環境研究グループ)
核磁気共鳴を用いる生体機能診断法
三森 文行(環境健康部)
遺伝子組換えによる植物のストレス耐性の改変
近藤 矩朗(地域環境研究グループ)
地球環境研究のひろばを目指して−地球環境研究センターの始動−
西岡 秀三(地球環境研究センター)
熱帯林の破壊と野生生物の多様性
椿 宜高(地球環境研究グループ)
レーザーレーダーによって観測された成層圏オゾンの変動
中根 英昭(地球環境研究グループ)
地球温暖化の影響と防止対策に関する研究の現状
森田 恒幸(地球環境研究グループ)
特別講演会 6日(木)
In Our Nature (我々の自然) C.W.ニコル
目次
- 研究所は研究のみをするところにあらず− 人材養成 −巻頭言
- 伝統と現代、あるいは過剰と欠乏−環境と健康の関係を研究する際の視点として−論評
- 退任にあたり期待するところ論評
- 熱帯林生態系の構造解析プロジェクト研究の紹介
- 有害廃棄物のモニタリングに関する研究プロジェクト研究の紹介
- 実験池における富栄養化過程とプランクトン群集の相互作用について経常研究の紹介
- 誘導結合プラズマ質量分析法(ICP・MS)による鉛同位体比測定の国際的クロスチェック経常研究の紹介
- 私の行動主義研究ノート
- レーザーレーダーと高濃度大気汚染研究ノート
- 美しい湖とマイノリティ気質海外からのたより
- 新刊・近刊紹介
- 主要人事異動
- 編集後記