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アジア太平洋地域における地球温暖化問題に関する研究ワークショップ報告

その他の報告

荒木 真一

 アジア太平洋地域における地球温暖化に関する共同研究プロジェクトの実施可能性の検討を行うために、3月18〜20日の3日間、国立環境研究所において、「アジア太平洋地域における地球温暖化問題に関する研究ワークショップ」を開催した。

 地球温暖化問題に対する地域的取り組みが重要なことは、昨年10月の第2回世界気候会議でも強調されている。また、本年1月に環境庁は名古屋で「地球温暖化アジア太平洋地域セミナー」を開催しているが、本ワークショップはこれを研究面からフォローアップするものであり、地球環境研究総合推進費による課題検討調査研究の一環として行われた。

 ワークショップには、アジア地域から6か国(バングラディッシュ、中国、インド、インドネシア、韓国及びタイ)9名及び国際機関としてアジア開発銀行から1名が参加するとともに、我が国からは、大学や国立試験機関等から関係する研究者等約40名が参加し、熱心な討論が交わされた。

 3日間の討議の結果、地球温暖化問題は早急に国際的に取り組むべき問題であり、その対策の一手段として地域的あるいは国際的な共同研究が有効であることが確認された。そして、共同研究として取り上げるべき研究テーマのリストを作成し、さらに、研究協力を進めるために必要な事項を整理してその結果を提言として取りまとめた。緊急を要するものとして、(1)温室効果ガスの発生源別排出実態に関する研究の推進と、(2)地球温暖化により引き起こされる環境影響(例えば、海面上昇による沿岸域への影響)及び対応案の評価が、重要なものとしては、(1)地球温暖化に関するモニタリングと、(2)政策及び技術評価手法の確立などがあげられた。また、研究協力を進めるために必要な事項として、(1)地域諸国間の研究データの共有に向けての合意形成、(2)研究協力のためのネットワークの確立、(3)財源の確保や、(4)ここにあげられた研究テーマを推進するための研究ワークショップによるフォローアップなどがあげられた。

(あらき しんいち、地球環境研究センター)