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2017年3月31日

大気汚染予測の仕組みと改良点

コラム1

 PM2.5などの数値シミュレーションとは、大気中のそれらの物質の濃度を計算で求めることです。PM2.5の濃度は、大きく(1)発生、(2)輸送、(3)反応、(4)沈着の4つの物理化学過程で決まります。つまり、(1)PM2.5そのものである粒子、またはその原因となる物質(気体)が大気中に放出され、(2)風に乗って運ばれたり、地表面付近の乱流などで混ぜられ、(3)気体が粒子になったり、気体が粒子に取り込まれたり、粒子同士がくっついたりし、(4)地面、建物、植物などの表面に付着したり、雨粒に取り込まれて落下することで大気から取り除かれるプロセスです。これらをモデル化し、計算機で物質濃度を計算するのが数値シミュレーション、それをさらに自動化して定期的に行うのが数値予測システムです。

 現在の大気汚染計算の精度は、濃度の大雑把な上昇下降は予測できますが、定量的には心もとない部分があり、例えば、日平均濃度がある値を超えるか否かをきちんと見積もるには困難な段階にあります。数値シミュレーションの精度を上げるための改良点としては上述の(1)、(2)、(3)、(4)を一つ一つ検討し、個々のプロセスの理解を深めた上で計算手法を改良していくことになります。現在の国立環境研究所では、特に(1)および(3)を対象に研究プロジェクトを実施し、根本的な精度向上のための努力を続けています(Summary 参照)。

図1(クリックで拡大画像を表示)
図1 大気汚染物質の濃度が決まるプロセス
PM2.5等の大気汚染物質の濃度を決める4つの要素を示す。

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