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2005年6月29日

施策を目ざした観測

モニタリング

 地球環境の問題は、従来の「公害」が地域・局所的な現象であるのとは違って、空間的・時間的にスケールが大きく、因果関係が複雑であり、かつ原因から結果に至るタイムラグが大きく、解決しづらいものです。そのために、地球環境の実態を正確に把握し、将来を予測することが欠かせません。
 当研究所では、「地球環境モニタリングプロジェクト」として、地球温暖化や成層圏オゾン層の減少を中心とした観測研究を推進しています(下図参照)。
 「温暖化」では、さまざまな観測プラットフォームを駆使して、温室効果ガスの動態解明を目指しています。
 たとえば、わが国の南北端(沖縄波照間島・北海道落石岬)の無人観測局での温室効果ガスなどの高精度観測、民間航空機の協力を得たシベリア上空での温室効果ガスの硬度分布観測、太平洋海域を航行する民間船舶の協力を得た海洋の二酸化炭素(CO)収支観測、北海道のカラマツ林での森林生態系のCO収支観測など。
 また、「オゾン層」では、ハイテクの観測システムを用いた成層圏オゾンの高度分布の高頻度観測(つくば、北海道陸別)や、オゾン層の減衰によって照射量の増大が危惧されている有害紫外線観測のネットワーク化などを行っています。
 その他、当研究所が古くから行ってきた霞ヶ浦や北海道・摩周湖の水質の観測などを引き継いで行っています。
 これら地球環境モニタリングは、基礎科学の理論と技術に立脚した応用科学的な要素が強く、得られた成果が行政施策と密接に繋がっています。
 たとえば、温室効果ガスの先駆的な長期観測例として著名なハワイ・マウナロアにおけるCO観測は一九五八年に開始され、長期間の地道な観測結果から、地球温暖化に対するCOの重要性を確認。それが世界的な観測ネットワーク網の構築となって、そこからのデータを利用したモデル解析・予測が行われました。さらに国際政治・行政的対応として、八八年にはIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の発足、九二年の気候変動枠組条約の成立、九七年には地球温暖化防止のための国際約束「京都議定書」の取り決めへと進展しました。
 ここには「観測」→「解析・予測」→「国際的取り決め・施策」に進むモニタリングのかかわり方の典型的な姿が認められます。
 このような進展の仕方は当然、現在実施しているすべてのモニタリングプロジェクトにおける究極的な目標でもあります。国際的な提携、研究的な対応、情報の統合化、長期継続体制の確保などを図りつつ、プロジェクトを進めています。
 以後、数回にわたり、主なプロジェクトの成果や話題など紹介したいと思います。

図:地球環境モニタリングの概要

【地球環境研究センター 研究管理官 藤沼康実】

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